京都に引っ越そうと思うんだけどさ、
どう思う?
急ですね。
やめたほうがいいじゃないんですか?
お金かかるし、仕事も探さないといけないでしょ。
「偽善しか吐かぬ、その舌を抜けい。」
はぁ!?
引っ越しがしたいんだよ。
じゃあ、おみくじでも引いて、
吉なら引っ越せば?
「俗世の予言を説くか、頭骨をえぐれい。」
なんだよ!
どっちもダメだし!
何も言えないよ。
黙して語らずば死罪。
ひでぇな!
難問!董卓の遷都問答
実際、こんな感じよ。
董卓の遷都問答は。
董卓?
『蒼天航路』を読み直してるんだけどさ、
この遷都問答だけはクリアーできる気がしないね。
『蒼天航路』か!
『蒼天航路』の董卓はホント怖い!
ほとんど何言っているかわかんないし。目やべえし。
董卓はどうやら長安に移りたいんだよね。
だから、いくら正論で止めようとしても
論に穴があるとアウト。
「舌を抜けい!」よ。抜きたい?他人の舌?牛じゃないよ。
「舌を抜けい!」って言うけど、それ自分でやるの?
ムズすぎません?
それでも、まだましよ。
次の人はもっとひどい。
次の人は賛同したのね。
ワーワー言ってるけど、要はジンクスだよね。
前に名君光武帝が遷都したタイミングと一緒だよ、と。
これが董卓は気に食わなかった。
なので、「頭骨をえぐれい」。
自分で頭骨えぐれる?
ん~、
とりあえず検索はしますよ。
「頭骨 えぐり方 ひとりで」。
もし、この場にいたらどうする?
黙ってても死罪なんでしょ?
ホント地獄だわ。
とりあえず、ボクだったら前の権力者の悪口めっちゃ言いますよ。
あと、とにかくクサイって言います。
クサイクサイクサイ!ここはクサイ!
クサイから引っ越しましょう!って。
洛陽クサイ!、クサイクサイクサイ!
光武帝が泣くよ。
でも、意外にそういうのでいいのかもね。
人間なんだ 董田みつを
だいたい、
なんで董卓は長安に遷都したいんですか?
「都とは、雄渾なる地であるべし。」
ちょっと何言ってるか?
ですね
ここで、”正史 三国史”を見てみよう。
「わが愛犬であってさえ、他人に叱責されたくないものだ。まして人間なんだ」
正史 三国志Ⅰ 陳寿 ちくま学芸文庫
???
えっ?なんだって?
まちがえた。
これ別の場面だ。
待って!これ董卓ですか!?
「人間なんだ」って言ってるし
“みつを”ですよ!”みつを”!
董田みつを!
こっちだった。
董卓は山東(東中国)から豪雄が一斉に蜂起したため、恐怖にとらわれ、おちつかなかった。初平元年(一九〇)二月、かくて天子をうつして長安に遷都した。
正史 三国志Ⅰ 陳寿 ちくま学芸文庫
この豪雄ってのが、曹操の檄文で立ち上がった反董卓連合軍だね。
盟主はあの袁紹だ。
董卓めっちゃビビってるじゃないですか!
なにが、「都とは雄渾なるべし」、だよ!
…。
話を遷都問答に戻そうか。
重臣たちがみな答えに窮したとき、
下座から一人の将軍が立ち上がった。
そう、それが、
こんな見た目でしたね。
腕のいい整体師みたいな。
この整体師が蒼天航路の序盤で
一番かっこいいんだよ。
徐栄は、董卓のプライドを傷つけないように、董卓の恐怖を取り除くことを宣言した。
「精兵3万にて!」
はかっこいいですよね。
今日はこのままこの徐栄をやります。
徐栄特集!?まぁ、いいですけど。
しかし正史見ると、董卓はあんまり怖くないですね。
蒼天航路ではだいぶ盛られたのかな。
でも、こんなことも書いてあるよ。
董卓はあらかじめ幔幕を張って準備しておき、酒宴となると、反乱した北地郡の降伏者数百人を中へ引き入れ、席上、まずその舌を切ってから、手足を切ったり、眼をくりぬいたり、大鍋で煮たりした。まだ死にきれない者が、杯やテーブルの間を倒れて転げまわり、集まった人々が慄然としてさじや箸を取り落しても、董卓は平然として飲み食いを続けていた。
正史 三国志Ⅰ 陳寿 ちくま学芸文庫
狂ってますね。本当に舌切ってるし。舌好きだなあ。
さっきの”みつを”と別人じゃないですか。
完全に魔王ですよ。
ちなみに、あの”みつを”発言には続きがあります。
「わが愛犬であってさえ、他人に叱責されたくないものだ。まして人間なんだ」
といい、かくて司隷都官をよび、彼をむちでなぐり殺させた。
正史 三国志Ⅰ 陳寿 ちくま学芸文庫
ぜんぜん”みつを”じゃねぇ!
曹操も孫堅も撃破
さて、蒼天航路ではこんなにかっこいい徐栄だけども、いまいち地味だよね。
董卓軍の武将で目立つのは、呂布、華雄、李儒、李傕辺りだし。
三国志好きじゃないと出てこない名前ですかね。
正史によると、
- 曹操、張邈、鮑信らの追撃軍を返り討ち。
- 進軍してきた孫堅を撃破
破竹の勢いですね!
鮑信の弟・鮑韜を討ち取り、張邈軍を率いていた衛茲を戦死させる。
曹操は馬ともども流れ矢にあたり、なんとか曹洪に救出されて撤退した。
曹操の最初の負け戦かな。
孫堅を破ったときは、
反董卓連合軍に参加していた太守の李旻と張安を捕らえて煮殺した。
つよい!
しかも煮殺すというところに董卓イズムを感じる。
もし、ここで生きのびていたら、呂布軍に合流してたのかなあ。
そう考えるとわくわくしますね。
曹操vs呂布のとき、
呂布軍に徐栄がいたら展開かわってたかもね。
三国志演義の恐怖
そんな正史では大活躍の徐栄。
しかし、これが「三国志演義」の物語になると、徐栄の功績ががっつりと削り取られている!
まず、曹操撃破の功績。李儒の作戦ってことにされた。
半分李儒に持ってかれたね。
李儒の”董卓軍随一の軍師”像づくりに利用されてしまったんだ。
まぁ、そのぐらいはしょうがないですよ。
「三国志演義」があってこその三国志人気だし。
手柄を全部持ってかれたわけじゃないし。
まぁ、半分は徐栄の功績だしね。
ちなみに「三国志演義」でも曹操は矢にあたり、曹洪になんとか救出されてる。
恐いのはここからだ。
鮑信の弟・鮑韜を討ち取ったよね。
これが、なかったことに!
ていうか、鮑韜の存在自体が、なかったことに!
なにそれ!?
たしかに、鮑韜って聞いたことないなと思った。
代わりに、鮑信の弟として鮑忠という架空の武将が登場する。
この鮑忠は、汜水関の戦いで華雄に討たれた。
つまり、徐栄の功績が、華雄のかませ犬に利用されてしまった。
そして、徐栄が戦死させた張邈軍の将、衛茲。
彼もまたその存在を消された。
代わりに、衛弘といいう衛茲をモデルにした武将が作られた。
彼は、曹操に付き従っている。
これに関しては、ただ徐栄の功績が削られただけだ。
なんか怖い…。
鮑忠作るなら鮑韜でいいし、衛弘もそのまま使えばいいですよね。
さらに、徐栄が煮殺した李旻と張安も存在を消された。
そもそも孫堅との勝ち戦がなかったことにされた。
これも孫堅の格を上げるためかな。
存在が消えるとか、キン肉マンの王位争奪戦みたいですね。
キン肉アタルよ!
超人予言書を燃やされて存在が消滅した。
当の徐栄は、なんとか消されなかった。
ただ、『三国志演義』では曹操軍を敗走させた際、
曹操に矢を当てたものの、救出にきた夏侯惇に槍で殺された。
本人は夏侯惇のかませ犬かあ。
あんなに強かったのに。
そう、『三国志演義』では、
徐栄をかませ犬とすることで、
華雄、李儒、孫堅、夏侯惇の格を上げたんだよ!
犠牲となった徐栄は、不遇も不遇よ。
あの蔡中と同じレベル
ここでコーエーの「三国志」の能力を見てみようか。
まずは初代三国志。
武力ひくっ!
100が最高でしょ?39って。
『三国志演義』ベースとはいえ低すぎる。
ちなみに”身体”は、病気のなりやすさとか寿命関連の項目。
戦闘には関係なし。
身体だけは丈夫なんだ。
しかし、武力39って、ちょっとした文官より低いでしょ?
人事担当の毛玠の武力が51だからね。
蒼天航路で、「わたしは〜しゃべると遅いから〜」って言ってた人でしょ。
あの人より低いの?
毛玠は「三国志演義」だと、赤壁の戦いで水軍都督に任命されてるから、
それが評価されたのかな。
でも、徐栄はもっとあってもいいでしょ。
「三国志演義」でも曹操に勝ってるのに。
まぁ、初代三国志は他の武将もいろいろとおかしかったからね。
袁紹配下の郭図が、特に目立った武功がないのに、武力90だったり、
馬超や曹操の下で武功をたてた龐徳が、武力44だったり。
他もそうそうたる武将たちがこのザマだ。
邢道栄 | 80 |
曹仁 | 56 |
楽進 | 53 |
龐徳 | 44 |
徐栄 | 39 |
いたな!邢道栄って。
あの温厚な横山版劉備に、「切れ!」って言われてたヤツ。
みんな邢道栄以下なんだ。邢道栄が高すぎですよ。
ちなみに、同じ武力39は蔡瑁の弟・蔡中だ。
ピンとこないですよ。
何した人ですか?
蔡瑁の弟。当初は劉表の部下、のちに曹操の部下となる。
「三国志演義」では、赤壁の戦い前に呉に偽の投降をしかけるが、周瑜に見破られ、黄蓋の苦肉の計をアシスト。
さらに、赤壁の戦いが始まると、今度は敵である甘寧の偽の投降を信じ、甘寧を味方の陣中深くに案内してしまう。
最後は、その甘寧に斬られて死亡。
こんなに良い所が何もない一生の人っているんですかね。
この蔡中と同じ扱いよ。徐栄は。
J – 1 GP開催決定!
今度は、三国志Ⅲの武将能力を見てみましょうか。
邢道栄 | 78 (80) |
曹仁 | 83 (56) |
楽進 | 74 (53) |
龐徳 | 94 (44) |
徐栄 | 54 (39) |
他の武将が再評価を受けるなか、
徐栄だけが平凡。
邢道栄がちょっと下がってるし。
まだ高いけど。
ちなみに、蔡中の武力は51となりました。
蔡中も上がるの!?
上がる要素なんかどこにもないでしょ!
徐栄の苦難の道はここからまだ続きます。
しかし、三国志9くらいから風向きがかわってきました!
武力70台に到達!
おお!ついに!
最近ではすっかり良将としての評価が安定してきました。
統率 | 武力 | 知力 | 政治 | 魅力 | |
三国志1 | – | 70 | 62 | – | – |
三国志3 | – | 54 | 38 | 45 | 40 |
三国志5 | – | 56 | 39 | 41 | 49 |
三国志6 | 47 | 63 | 33 | 51 | 40 |
三国志7 | – | 68 | 46 | 45 | 53 |
三国志9 | 76 | 71 | 66 | 40 | – |
三国志10 | 82 | 73 | 64 | 47 | 45 |
三国志13 | 81 | 76 | 62 | 43 | – |
三国志14 | 81 | 74 | 62 | 43 | 45 |
統率80台のってるじゃないですか。
だいぶ使えそうですね。
この徐栄の再評価の波に、
我々ものっかって行こうと思います。
近日中に、徐栄ワングランプリ、略して、J – 1 GP を開催いたします!
徐栄で前後編!
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徐栄ワングランプリはこちら
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