魁!!男塾の『民明書房』で一番だまされてしまう逸話を決める。
今回はその⑦、『天挑五輪大武會』の決勝トーナメント準々決勝王家の谷の守護者達(ファラオ・スフィンクス)戦で登場した民明書房です。
①はこちらから。
前回⑥はこちらから。
誰もがだまされる『民明書房』を決めようシリーズもついに第7回です。
引き続き『天挑五輪大武會』決勝トーナメントをみていきましょう。
前回は盃野郎でしったけ。
無駄な努力をする人ね。
それでは、今回もはじめていきましょう。
例によって、多少端折りながら進めます。
また、民明書房以外の出版社も含めます。
おさまりがいい『王家の谷の守護者達』
『王家の谷の守護者達(ファラオ・スフィンクス)』。
民明書房刊『ツタンカーメンの逆襲』より。
『天挑五輪大武會』決勝トーナメント準々決勝、男塾が対戦したチームが、
この『王家の谷の守護者達(ファラオ・スフィンクス)』。
出た『ファラオ・スフィンクス』!ホントおさまりがいい名前ですね。
エジプトな言葉を二つ並べただけなのにチーム名っぽいっていうね。
今度、他の国でもやってみようか?
いいですね!
ファラオ・スフィンクス選手権!
“紀元前三千年、世界最古の文明を誇る古代エジプト王朝では、王家の谷と呼ばれる一群のピラミッド地帯を守るため最強精鋭の闘士をよりすぐり、「王家の谷の守護者達(ファラオ・スフィンクス)」と名付けた。彼等は中国拳法とは、異質の特殊な格闘術を発達させたが、対戦して生き残った者が皆無のためその技の正体は一切不明である“。
前もありましたね。対戦相手で生き残った者がいないから正体不明って。
毒蛇拳法の『鐘家蛇彊拳』ね。誰も知らないはずなのに、なぜか本に書かれて伝わってたね。
「王家の谷」って本当にあるんですか?
これがあるらしいのよ。
ただ、ピラミッド群ではなく、岩窟にある王の墓群だって。
じゃああながち嘘ではないのか。
ただ続きがあってね。
“なお彼等は不老不死の肉体をもち、五千年を経た現在でも砂漠の一隅に潜み、その技を伝えているという説があるが、確認されていない”。
出ました不老不死。なんかほっとしましたね。
さすがに、これを信じるのは難しいかな。
そもそも前回の『宝竜黒蓮珠』と同様、キャラ名みたいなもんだしね。
まぁ、これはジャブだよ。次からが本番。
“蟻の手も借りたい”『甲冑軍隊蟻』
『甲冑軍隊蟻(かっちゅうぐんたいあり)』。
民明書房刊『実用動物辞典』より。
王家の谷の守護者達ジュセルvs男塾死天王センクウで、ジュセルが見せた不死身のトリックのタネ。
“不老不死の肉体“が作中で否定されちゃったんですね。
しかもこの試合一試合目だしね。早かったね。
“学名エジプティアン・キラー・アント。体長20ミリ別名「砂漠のピラニア」といわれるほどの凶暴性と集団性に特徴がある。百匹のこの蟻が集まれば駱駝一頭を三分以内に白骨化してしまうという。知能も高く、飼育すれば人間の命令にも従うようになる為、古代エジプトでは麻製の手袋にこの蟻を詰め、労働力の補助としていた“。
こってり民明書房来ましたね!
勢いもあるしね。
別名砂漠のピラニア、100匹で駱駝一頭を3分以内に白骨化。
3分で白骨化はさすがに早くないですか?
せめて30分?30分でも早いと思うけど。
フードファイター小林尊ですら、3分で食べられるホットドッグの数は6本だからね。
そして、ただ人間の命令に従うだけでなく、麻製の手袋に詰めて労働力の補助にするっていうのがいいよね。
人間の手の動きができるってことですか?
そう!作中でジュセルがそう操ってたのよ。
さらに、続きもあるよ。
“ちなみに現代でもエジプトでは、忙しくて人手が欲しい時「蟻の手も借りたい」と表現するのはこれに源を発する“。
蟻の手も借りたい!
ホントりだくさんですね。
荒唐無稽だと思ってるでしょ。
でもこれ、おれ知人に話してみたんだよ。
そしたら信じたぞ。
これで騙せたの!!
知人曰く、冒頭の学名で信じたって。なのでそれ以降は特に疑うことなく入ってきたとのこと。
だいぶ素直な人ね。大丈夫?
でもやっぱり学名とかそいういうのは効くんですね。
通報案件『晏逅寺軟體拳』
『晏逅寺軟體拳(あんこうじなんたいけん)』。
民明書房刊『世界の怪拳・奇拳』より。
また『世界の怪拳・奇拳』だ!
男爵ディーノの『死穿鳥拳』のときもこれでしたよね。
登場回数最多だね。
男塾の飛燕と戦った王家の谷の守護者達のネスコンス。
こいつの超軟体質による必殺技が『F・S秘承義アマルナの黄昏』。
F・Sはファラオ・スフィンクスの略ね。
でも、『晏逅寺軟體拳』ってのはなんですか?
へぇ~、さすが雷電、詳しいですね。
でも、最初の『王家の谷の守護者達』のときに、
“彼等は中国拳法とは、異質の特殊な格闘術を発達させた…”って書かれてましたよね?
そうだったね。結局中国拳法になっちゃったね。
不老不死のくだりといい、どんどん崩れてくよ。
まぁいっか、見ていきましょう。
“一般に酢が人間の体を柔軟にする成分(ピノドキシン)を多量に含有することは知られている。この性質を応用し、特殊な拳法を編み出したのが晏逅寺軟體拳である。その修業者は、この世に生をうけた時より、酢を満たした大瓶の中で生活・成長し超柔軟な体質をつくりだしたという。その人体構造学の制約を越えた拳法は必勝不敗の名をほしいままにした“。
生まれてからずっと酢漬けにするんですか!?
そう!この中国拳法『晏逅寺軟體拳』は、現代日本では虐待と呼びます。
完全に通報案件ですね。
もし、瓶に酢漬けにされている人間を見かけたら、福祉保健局にご連絡を。
警察でしょ!
続きあります。
“ちなみに、現代でも副食品として身近なラッキョウは、この軟體拳の達人であった陳辣韭(ちんらっきょう)が日日の糧を得るため、修行中に自分の壺に身を着け、製造・販売したのが、その名の由来とされている“。
陳辣韭(ちんらっきょう)!
きましたね!
これぞ民明書房!
ラッキョウを製造・販売か。
せっかくだから何か別の物を漬けようと思ったんですね。
でも販売はどうやったんですかね?
瓶にポップでも貼ってたんじゃない?
そもそもどこで漬かってんるですかね?
人通りの多いところで漬からないと売れないでしょ?
いや、そもそも売れねえよ!こんなもん!
生まれてからずっと漬かってるからね。
当然、糞尿の問題もあるし。
きもちわり!
売るなよ!そんなもん!
陳辣韭は、瓶にずっと漬かってるからね。まともな教育受けられてないんだよ。
ただ、めちゃくちゃく身体やらかいけどな!
いや、元とれてないよ!
虐待は本当によくないです。
福祉人材は慢性的な人手不足と聞きますので、消費税がこういったところに使われることを願います。
硫酸シャボン玉対策『渦龍天樓嵐』
『渦龍天樓嵐(かりゅうてんろうらん)』。
民明書房刊『武道達人逸話集』より。
男塾伊達vsFSセティの戦いで、伊達がみせた必殺技。
槍を高速で回転させ、竜巻のような風を起こした。
これで、セティの硫酸シャボン玉攻撃をはね返した。
ホント、硫酸がよく出てきますね。
あと毒ね。どっちかは出てくるよ。
“中国槍術その最高峰にあり槍聖とあがめられた呂朱棍(ろしゅこん)が創始したといわれる幻の秘技。槍をすさまじい勢いで回転させることにより、小竜巻ともいうべき乱気流現象を起こし、その風圧で相手を撹乱した。その威力は空に飛ぶ鳥を落とし、雨の日は頭上で回転させれば傘のかわりをもなしたという”。
現実にあるかないか別として、少年漫画ではよく見ますよね。
拳圧で攻撃とか、剣圧で切るとかね。
なら、よく見ますつながりで、続きをどうぞ。
“ちなみに、現代でも突然の雨にあった時、雨をやませるまじないとして棒きれを拾い、頭上で回転させる老人の姿がしばしば見られるのは、この名残である”。
棒きれを拾い頭上でクルクル回すジジイ?
見たことないわ!
日ごろからやっといたほうがいいよ。
これができないと、綱渡り中の硫酸シャボン玉攻撃に対応できないからね。
高熱時の悪夢でしかありえないシチュエーションですよ。
とにかく、これは騙されないですね。
“黒蛇に足元を咬まれている”『蛇墨輒闘』
『蛇墨輒闘(じゃぼくちょうとう)』。
民明書房刊『世界死闘決闘百選』より。
男塾筆頭剣桃太郎vsFS副将アヌビス。
この戦いでアヌビスが提案した決闘法が『ルクソールの憂鬱』だ。
あれ?でも蛇がどうのって。
また雷電がね、「中国拳法でいう蛇墨輒闘と完全に一致!」って。
また!?
結局、中国拳法!
つっても、一致しちゃったんだからしょうがないよ。
“苛烈で知られる赤狼流総帥選出時に行われる決闘法。墨液を膝の高さまで満たした二間四方の水槽に全身が黒一色で猛毒をもつ黒咬蛇を放ちその中で闘う。黒咬蛇の見ようとも見えぬ恐怖の中で闘うことは、拳法の技量以上に強靭な精神力が要求されるのはいうまでもない“。
また毒蛇を使った闘い!ゼウスだかなんだかでやったでしょ!
もうこんな馬鹿なことはやめればいいのに。
でも、実際に闘った『ルクソールの憂鬱』は、砂場にサソリだから。
目糞鼻糞ですよ。
でも続きあるよ。
“ちなみに、現代でも必死に努力をしているにもかかわらず報われぬ事を「黒蛇に足元を咬まれている」と表現するのはこれに由来する“。
聞いたことないし、しっくりもこないし。
同じ聞いたことないでも“魂剣石をも斬る“は、ストンと来ましたけどね。
誰かが言ってたでしょ?「努力は必ず報われる」って。
あれの対義語が、「黒蛇に足元を咬まれている」だよ。
ホントに?
てか前回も努力が報われないくだりをやりましたよね?盃野郎って。
いろんな言い回しを知っておいたほうがいいでしょ。
いい言葉じゃないし、いらないですよ。
しかもデタラメだし!
中国版巌流島『鶴脚閃走術』
『鶴脚閃走術(かくきゃくせんそうじゅつ)』。
民明書房刊『中国日本武術交流秘史』より。
またの名を『秘承鶴錘剣(ひしょうかくすいけん)』。
剣桃太郎がアヌビスとの砂上の闘いで披露した。
桃は砂に刺した刀の上に乗り、自在に砂上を滑走した。
“中国拳法史上幻とされる三大奥義のひとつ。その発祥は中国版巌流島の決闘として名高い陳宗明と泰報刻の台南海岸の決闘の折、足場の悪さを克服する秘策として、陳宗明が咄嗟に編みだしたとされている“。
中国版巌流島の闘い!
じゃあ、陳宗明が宮本武蔵?
そうなるね。
ちなみに、足場はこんな感じね。
すごい!
けど、ちょっと動けば、いい足場ありますね。
当たり前だけど、剣を足場にしたら武器なくなっちゃうよね。
それでも泰報刻は見事に蹴り飛ばされてますよ。
「蹴り飛ばされてるなあ」って後ろの皇帝みたいな人が見てるね。
ホントだ!
てか、これはないでしょ!
さすがに不可能。
あんまりやる意義もわかないしね。
所詮、幻の奥義ですから。
ネオム『煇光蛍』
『煇光蛍(こんこうぼたる)』。
民明書房刊『驚異の昆虫世界』より。
男塾筆頭剣桃太郎vsFS大将ファラオ。
ファラオがみせた秘術のタネ。
蟻の次は蛍ですか。
“学名エジプティアン・ネオム・ファイアーフライ。体長約20ミリ。ナイル川流域に生息し、極めて明るい光を放ち、その集団性と知能の高さで知られる。古代エジプトでは、ガラス瓶に入れ、家庭での照明として、各家庭で使用されていた。また、その特質を利用し、どんな隊型でもとれるよう調教した。一群のこの蛍を夜空に放ち、戦時の軍事伝達や商店の広告看板として大いに用いた。しかし、あまりの乱獲がたたり、7世紀初頭には絶滅が確認された“。
家庭での照明とか、商品の広告看板とか、なんかメルヘンで素敵ですね。
知能の点も蟻よりは無理がない書き方だしね。
しかも絶滅したってところでロマンを残してる。
これ続きあります?
ありますよ。
“ちなみに、現代都会の夜空を彩るネオンサインの語源は、この蛍の学名にある「ネオム」に由来する“。
ネオム!
絶妙だなあ。
“商店の広告看板“ってのも効いてるね。
うわぁ、これは信じるなあ。むしろ信じたい!
誰かに話したくなる民明書房だね。
以上です。
今回は豊作だったんじゃないでしょうか。
濃いのが多かったですね。
でも今回は最後の蛍でいいんじゃないですか?
『煇光蛍』ね。
ワーストは?
そりゃラッキョウでしょ!なにラッキョウの製造・販売って。
絶対だまされないですよ。
まぁ、よかったじゃない。
瓶で酢漬けにされている子はいなかったんだから。
⑧につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
コメント
ファラオスフィンクスのこと「FS」と略されてましたけど、本当は「PS」ですよね。ファラオはPHARAOHと書きますので