その中で最もだまされてしまうトンデモ理論を決定するシリーズ。
今回はその⑧。『天挑五輪大武會』の決勝トーナメント準決勝梁山泊十六傑戦で登場した民明書房です。
①はこちらから。
前回はこちらから。
一番だまされてしまう『民明書房』はどれか?ってことでやってますけど、気づけばもう8回目です。
もう何が本当で何が嘘だったかわからなくなってきますね。
陳辣韭(ちんらっきょう)はさすがに嘘ですよ。
そっか、陳辣韭(ちんらっきょう)のラッキョウは売ってないのか。
食べたかったなあ。
食いたくないですよ。
あんな糞尿まみれのラッキョウ。
はい。それでは、今回もはじめていきます。
例によって、多少端折りながら進めます。
また、太公望書林のような民明書房以外の出版社も含めます。
梁山泊馮翊拳『梁山泊』
『梁山泊』。
民明書房刊『武の中国史』より。
『天挑五輪大武會』トーナメント準決勝の相手『梁山泊十六傑』。
これに関しては、中国の四大奇書『水滸伝』に出てくる『梁山泊』のオマージュなので、ほとんど創作がありません。
『水滸伝』の『梁山泊』に寄せてるってことですか?
寄せてます。ほぼほぼ『水滸伝』の『梁山泊』
“梁山泊馮翊拳“とかいう聞いたことない拳法が出てくるぐらい。
『梁山泊十六傑』の連中がそれを使うんですか?
いや、誰も使わなかった。
なんだそれ!
なので、これはこの辺にしよう。
次からが本番。
例のあいつが出てくるよ!
呉竜府『纏咳狙振弾』
『纏咳狙振弾(てんがいそしんだん)』。
民明書房刊『スポーツ起源異聞』より。
男塾三面拳最強月光vs梁山泊蒼傑で月光がみせた棍法術。
地面においた鉄球をゴルフのように打つ。
ゴルフのように?
ま、まさか…。
“棍法術最強の流派として名高い辵家流に伝わる最大奥義。この技の創始者、宗家二代呉竜府(ごりゅうふ)は正確無比の打球で敵をことごとく倒したという。この現代でいうゴルフスイングにも酷似した打撃法は運動力学的観点からいっても球の飛距離・威力・正確さを得る為に最も効果的であることが証明されている“。
来たー!呉竜府!
“ちなみにゴルフは英国発祥というのが定説であったが、最近では前出の創始者呉竜府の名前でもわかるとおり、中国がその起源であるという説が支配的である“。
以前にも話しましたとおり、幼少期の私はこれを信じておりました。
ゴルフの起源は中国って説が支配的なんですね。
当時、誰かに話しました?
多分話してない。
もし話してたら、フカシ野郎っていじめられてたかも。
あぶなかったですね。
でも呉竜府って、たしかにギリギリなとこついてますよ。
陳辣韭(ちんらっきょう)だった騙されないですけどね。
冷静になれば、なんで日本の音読みなんだよって、中国語読みじゃないのかよって疑問に思えるんだけどな。
梁山泊十六傑戦っておもしろいんだよ。初戦の男爵ディーノ戦から始まり、この月光vs蒼傑も屈指の名勝負だし、その勢いにものまれたってのはあると思う。
状況も重要と。カルトやマルチって状況づくりしますもんね。
気をつけましょう
はい。
決して手を開くべからず『指撥透弾』
『指撥透弾(しはつとうだん)』。
民明書房刊『中国宮廷儀礼典範』より。
同じく月光vs蒼傑から。
蒼傑の最終奥義闘弓術。
“弓術至高の流派として名高い千弦流の開祖、弓栄喚(きゅうえいかん)が編み出したという究極の秘技。5本の指を弓に見立て目に見えぬほど細い羊の腸で作られた糸を弦とし、目に見えぬ鯨のヒゲからけずり出した矢4本を同時に放つ必殺技。ちなみに、この技は暗殺者として最適のため、時の皇帝・貴人の前では相手に向かって手を開くことは、固く禁じられていた“。
鯨のヒゲとかイメージつかないですけど、
なんかできそうな気はする。
『宝連黒連珠』の技より、よっぽど暗殺術っぽいしね。
また、皇帝の前で手を開くことは禁じられていたってのがいいですよ。
ホントだ!芸が細かいな。
東門慶将軍『跳蚕器』
『跳蚕器(ちょうそうき)』。
民明書房刊『中国武具 ーその創造と継承ー』より。
外道ワングランプリで触れたね。
卍丸の師匠の仇、外道頭傑が使う頭にはめる変な武器。
やりましたね。
アナル将軍みたいな人が使ってたってやつね。
東門慶(とうもんけい)将軍ね!
ってそんなヤツもいないんだけどさ。民明書房だし。
“東門慶将軍の発明とされる。東門慶将軍は背が低かったが、それを補うため頭上からの攻撃の有利さと敏捷性を得られる。この跳蚤器を考案し、大いなる戦果をあげた。ちなみに、現代でも男子生誕の折、螺旋状に型どった麵を頭上にのせて勇敢に成長するよう祈願する風習があるのはこの名残である“。
麺を頭の上に乗せる風習?
跳蚤器を模すために、とぐろをまいてね。
見たことない!
しかも、それじゃただのマキグソでしょ!
ここでちょっと跳蚤器を見てみようか。
これが跳蚤器か、とぐろまいてますね。
このおっさんは誰ですか?
東門慶将軍でしょ。
これが肛門系の将軍か。
東門慶将軍ね!
そんなジャンルの将軍ないから!
いや、こんな将軍もいないから!
耿家二代目邊真愚『疆条剣』
『疆条剣(きょうじょうけん)』。
民明書房刊『世界スポーツ奇譚』より。
梁山泊が誇るとっておきの男・蓬傑が使う幻の剣法。
鳴り物入りですね。
“西洋の剣法として盛んなフェンシングはヨーロッパが発祥の地とされていたが、その源流ははるか中国秦代にさかのぼるという説がある。この剣は、針のように細く鋭利にとぎすまされている為、わずかの力で素早く相手の急所を突くことができる。これを中国拳法と融合させ、数数の秘技を編み出し、必殺の武器として完成させたのが、耿家二代目邊真愚(へんしんぐ)であり、その名が「フェンシング」の名の由来であるという“。
邊真愚(へんしんぐ)!フェンシングの由来!
呉竜府に続くスポーツ起源中国説の二発目だね。
邊真愚には騙されなかったんですか?
記憶にないんだよ。
だから、刺さらなかったんだろうな。フェンシングなのに。
呉竜府のほうが字面がいそうですもんね。
邊真愚だよ。邊が姓だとしたら、名が真に愚か。
そんな名前つける親いないだろ!
たしかに。
罦虻流昆虫記より『操蜂群拳』
『操蜂群拳(そうほうぐんけん)』。
民明書房刊『罦虻流昆虫記』より。
またもや蓬傑。今度は蜂を操る技。
ちなみに、対戦相手は男塾第二の助っ人翔霍ね。
助っ人オッケーなんですね。
翔霍ってのは聞いたことないですね。
あっ、これ影慶。
あっ、そうなんですね。
“一般に蜂の特異な集団性は知られている所であるが、中国拳法においては三匹で刺せば猛牛さえも絶命させるという禽虎蜂(きんこばち)を調教し利用した殺人拳が編み出された。このため、これが暗殺の道具として用いられることを恐れた。古代中国、時の権力者たちは蜂を飼うことを厳禁した“。
禽虎蜂、昆虫モノですね。
三匹に刺されたら猛牛でも絶命か。
アナフィラキシーショックとかあるし、ありそうではある。
ただちょっと弱いか?
皇帝禁止のくだりも、『指撥透弾』の手を開くことを禁止のほうがインパクトでかいね。
ただ、ここで注目すべきは本の名前よ。
本の名前?
ちょっと読めないですけど、この『罦虻流昆虫記』ってやつ?
昆虫記の前が読めないよね。
これはこう読みます。
『罦虻流(ふあぶる)昆虫記』
ファーブル昆虫記!
以上です!
ついに、呉竜府が登場したね。
衝撃でしたね、呉竜府(ごりゅうふ)。邊真愚(へんしんぐ)もなかなかでしたけど。
さて、一番騙されてしまう民明書房はどれですか?
私はもう呉竜府ですけど。
ゴルフの発祥呉竜府?騙される人います?
あっ、あれは?
皇帝の前で手を開くのは禁止ってやつ!
『指撥透弾』か!
あれいいね!そっちにしようか!
ワーストは?
邊真愚でしょ。
次回につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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