その中で最もだまされてしまうトンデモ理論を決定するシリーズ。
今回はその⑨。引き続き梁山泊十六傑戦で登場した民明書房です。
①はこちらから。
前回はこちら

引き続き梁山泊十六傑戦で登場した民明書房を見ていきましょう!

前回ついに呉竜府が出ましたね。

いま見ても騙されるね。

ピュアすぎるでしょ。

はい。それでは、今回もはじめていきます。
例によって、多少端折りながら進めます。
また、太公望書林のような民明書房以外の出版社も含めます。
三騎で一千騎を大混乱『轢鋲球』

『轢鋲球(れきびょうきゅう)』。
民明書房刊『世界古代兵器大鑑』より。

梁山泊副頭宋江将軍の部下というか武器というか…、
百聞は一見にしかずだね。


…。
これは読めましたよ。
羅雲土王(ラウンドワン)将軍が考案したんでしょ。

いい線いってるね!
じゃあ見てみようか!

“古代中国戦乱の時代、屈指の名将としてして名高い周の范公将軍が考案したといわれる機動兵法。特に敵が大集団の場合にその威力を発揮し、天下分け目の決戦として知られた黄原の戦いにおいては、范公将軍自らが率いる轢鋲球わずか三騎で、敵である呉軍一千騎を大混乱に陥れたという“。

残念、周の范公将軍だったね。

ここに来てすんごいまともな名前!
前回は呉竜府とか邊真愚とか変なのばっかりだったのに!

国名である周や呉も春秋戦国時代に実際にあった国だしね。
詐欺師ってのは、真実も混ぜてくるから油断できないんだよ。

“ちなみに余談ではあるが、この轢鋲球は平衡感覚の向上に最適であるため、第二次大戦中、世界各国の空軍で飛行訓練方法として用いられた“。

はえ~、ありそうな話。

騙される?

いや、でもあの球でしょ。
自分でそんな動けないでしょ。

三騎で一千騎を大混乱だってよ。

無理でしょ!
球に槍刺したら動かないですよ。

外から、槍で突かれ放題だわ、
弓矢で射かけられ放題だわ、
なのに、球から脱出できないわ。

地獄ですね。
無敵の防御幕『翹磁大撥界』

『翹磁大撥界(きょうじだいはつかい)』。
民明書房刊『大磁界』より。

男塾二号生筆頭赤石剛次vs梁山泊副頭宋江将軍で、
宋江が用いた磁力のバリヤーだ。

“中国拳法中興の祖といわれる黎明流・珍宝湖(ちんほうこ)が自らの秘拳修行の為、玉仙山に籠った時開眼した門外不出の秘奥義。当時、玉仙山には1立方センチあたり5万5千ガウスという超磁力をもつ太極磁石が産出し、これを拳法に結びつけることにより完成した。敵の武器に太極磁石粉を付着させ、同極の太極磁石で出来た防具類を着用すれば、それは無敵の防御幕となるのである“。

SとS、MとMの反発を使ったバリヤーか。

作中で宋江はうまく赤石の刀に太極磁石粉とやらを付着させたが、
そもそも敵の武器に太極磁石粉を付着させるのは至難の業だよなあ。

うまく仕掛けられても、
本当にバリヤーが発動するのか不安ですよね。
5万5千ガウスが強いんだか弱いんだかもわからないし。

それに、”黎明流・珍宝湖“よ。ほぼチンポコよ!
なんで何の脈絡もなくこんなものが現れたんだ!?

特に何にもカカってないですよね。

カカってないんだよ。
山の名前は、玉仙山で「玉」が入ってるし。

唐突な下まみれですね。

謎だよ。
目は口ほどにものを言う『體動察』

『體動察(たいどうさつ)』。
民明書房刊『医学的見地より考察した中国拳法』より。

梁山泊十六傑の三首領の一人、末弟泊鳳が使う技。
これにより、男塾Jの動きを完全に予見した。

強そうな技ですね。

“肉体には運動を起こす時、大脳から意志を伝達する運動神経の中枢機能をもつ體動点がある。この全身に張りめぐらされた體動点の変化を見極めることを拳法に応用し完成させたのが體動察である“。

難しいの来たな。
運動神経の中枢機能をもつ體動点があるから、それを見て動きを読むってことですか。

医術系はもう言われるがままだよな。
疑えるほどの知識がない。

“ちなみに、目の回りには特に體動点が集中し古来より諺にある「目は口ほどにものを言う」というのは、このことを証明するものである”。

うわぁ、上手。
「目は口ほどにものを言う」はありますよね!

実在のことわざ混ぜてきたパターンだ。
しかも、”由来する”ではなく、”証明する”ってのがうまいね。

これは無理ですよ。手がかりがない。

ちなみに、體動点なんてものは無いみたいだぞ。

うわぁ、これは騙されますわ。
秘奥義の最高峰『鶻宙身の法』

『鶻宙身 (かっちゅうしん) の法』。
民明書房刊『独習中国拳法』より。

梁山泊十六傑の三首領の一人、次兄山艶が使う技。
宙に浮かせた数多の扇を自在に飛び回る。

人間離れしてますね。

“数ある中国拳法秘奥義の中でも最高峰に位置する技。この技の真骨頂は、ある一点に着地する時その全体重がかかる寸前に次の一点に素早く連続移動し、一点あたりにかかる負荷を無に等しくすることにある。この究極の身軽さを得るには指一本で倒立し、地に並べた卵を潰さずに移動しつづけるだけの修練が必要である“。

一点に体重がかかる前に次っていうのは、うちの親父もいってましたよ。
それで水の上歩けるんだって。

親父さん民明書房読者かもな。

てか、無理ですよね。
この卵の修行も。

それに薄いね。
無理だし薄いし、次行こうか?

はい。
李筴振が語源『凶獬面閶殺』

『凶獬面閶殺(きょうかいめんしょうさつ)』。
太公望書林刊『シルクロードの彼方』より。

梁山泊の山艶が、男塾羅刹の『鞏家最大奥義・兜指愧破土錐龍』の打開策として、繰り出した秘奥義。

どっちも技名の漢字がえぐいですね。

もはや文字化けだよ。

“中国拳法屈指の奇襲策。技の発祥は秦代末期の李筴振と陳栄公の紅原の決闘にある。はるかに技量の勝る陳に対して、李は己の甲冑すべてを表裏逆に着用し後ろを向いていると錯覚させ油断し、近づいてきた陳を一撃のもとに倒したという“。

てことは、先に李が待ってたってことですよね。

佐々木小次郎が『凶獬面閶殺』をやってれば、宮本武蔵に勝ってたかもよ。

怪しくないですか?
武蔵が「遅れてゴメンね」って言っても黙ってるんでしょ。
しゃべったらバレちゃうし。

武蔵はそんなフレンドリーじゃないだろ。

“ちなみに、この噂はシルクロードを通じて西欧にまで伝わり、現代英語で表裏自在を意味する『リバーシブル』は、李筴振(りばしぶる)の名が語源である“。

りばしぶる!!

そう、リバーシブルの語源は、李、筴振!

とんでもないこと言い出しましたね。

駅前留学で逆にこれを教えてあげたいよ。

ぶん殴られるんじゃないですか。クレイジー!って。

しかし、これに騙される人いるんですかね?

リトマス試験紙になるよ。
家族、恋人、友人がこれを信じたら要注意よ。
カルト、マルチ、詐欺などにひっかかる恐れありよ。

使ってみますわ。
驚嘆のほかはない『噴血針』

『噴血針(ふんけつしん)』。
民明書房刊『中国古代吃驚医学大鑑』より。

梁山泊十六傑三首領の長兄、畜生鬼こと梁皇が使う必殺技。
目に見えぬ細い針を突き刺し血を噴出させる。

でましたね、くそ外道兄貴。

先に言っておきますけど、これは薄いです。

“古代中国医術で用いられた医療器具。これを体内に打ち込み、血液のもつ浸透圧の差を利用することにより、体内にたまっている悪い血や膿を体外に排出させる。すなわち、現代医学でいうタンジェリン・カテーテルである。数千年もの昔、このような現代最先端の医療原理が存在したとは驚嘆のほかはない“。

”驚嘆のほかはない”、かあ。
カテーテルって実際にありますよね?
タンジェリンは知りませんけど。

カテーテルは細い管だよね。
ただ、タンジェリンはオレンジの一種だ。

ありえない組み合わせだからこそ、
ありえそうですね。

そんな所を組み合わせてくるとは、
”驚嘆のほかはない“。

早速、使ってる。
いいなあ。

以上です!
しかし、李筴振(りばしぶる)のインパクトよ。

ホントめちゃくちゃですよ。

一番騙されてしまうのはなんだろね?

カテーテルですかねえ。
ちょっと薄かったですけど。

あっ、目は口ほどにものを言うもよかったですね!

『體動察』ね!いいね!
ワーストは?

リバーシブルでしょ。
次回につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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