明日誰かに話したくなる嘘話といえば、魁!!男塾の『民明書房』。
その中で誰もが信じてしまう嘘話を決定するシリーズ。
今回はその⑪。引き続き冥鳳島十六士戦で登場した民明書房を見ていきます。
①はこちらから。
前回はこちら。
一番騙せる『民明書房』を決めるシリーズ。引き続き冥凰島十六士戦の民明書房です。
前回は黒ヨガでしたね。
片岡鶴太郎触手説だっけ。
勝手に言っているだけですけどね。
『狼少年ー拳ー』も衝撃だった。
それでは、今回もはじめていきましょう。
例によって、多少端折りながら進めます。
また、太公望書林などの民明書房以外の出版社も含めます。
ドスコイカーン『地獄相撲』
『地獄相撲(チャガ・ポルテ)』。
民明書房刊『相撲人生待ったなし』より。
冥鳳島蒙古三凶撰のひとりキルギス・カーンが使うモンゴル相撲ベースの格闘術。
モンゴルキャラって珍しいですね。
しかも三人もよ。
“モンゴル相撲の歴史は古くジンギスカーンの時代までさかのぼるという。勇猛果敢な騎馬民族である彼等は、戦闘訓練の一環として好んでこれを行った。中でも17世紀に時の暴君・ジミヘカーンによって発案された地獄相撲(チャガ・ポルテ)は地上15メートルの高さに土俵をつくり、そこで生死を賭けて戦うという凄まじいものであった“。
ジンギスカーンはいましたよね。
ジミヘカーンはいたんですかね?
ジンギスカンことチンギスハンが活躍したのが13世紀。
この暴君ジミヘカーンが17世紀。
17世紀のモンゴルなんてわからないよなあ。
史実と架空のごちゃまぜパターンぽいですね。
またこの地上15メートルっていう決闘法もできなくない規模だよね。
火口の上で闘う決闘法とかありましたもんね。
これぐらいだと信じちゃうかな。
じゃあ続きを。
“ちなみに、現代の日本の相撲で使う「どすこい」という掛け声は、この地獄相撲最強の戦士として知られた「ドスコイカーン」の名に由来するという説もある“。
前言撤回します。
なんでよ?
ドスコイカーンに決まってるでしょ!
いるわけないでしょ、こんなヤツ!
説もあるって言ってるから。
由来するって断言はしてないから。
ドスコイカーンは、さすがにあらいでしょ。
ちょっとあらいか。
ちなみに、元小結の旭道山が『待ったなし人生』って本を出してるよ。
じゃあ、それに寄せたってことですか?
いや、その本の出版年が1997年。
だから、民明書房の『相撲人生待ったなし』のほうが先なんだよね。
あ~あ。
ダメだよ、先使っちゃ。
正直、『相撲人生待ったなし』のほうがリズムがいいしね。
これはよくないですよ。
ドザイ・モーン『水龍䩬球』
『水龍䩬球(すいろんぼうきゅう)』
民明書房刊『泳げ!騎馬民族』より。
なんだって?
水龍…
そっちじゃないです。
『泳げ!騎馬民族』。
それですよ!
なんか書籍名が雑になってません?
『狼少年ー拳ー』とか。
そうかねえ。
でも問題は中身でしょ、人間と一緒だよ。見てみようよ!
“古今東西・武道家同士がその雌雄を決すべく行う決闘法は数あるが、中でもモンゴルに伝わる水龍䩬球は最も苛酷なものとして有名である。後に硝子工芸の発達によりガラス球が使用されたが、当初は7メートル四方の木槽に水を一杯に満たし、その中でどちらかが死ぬまで闘った。水中では、当然闘う時間は限定され、しかも水の抵抗により、動作に通常の3倍もの体力を消耗するため、その苦しさは想像を絶した”。
また決闘法モノですね。
これもありえなくはないかなってレベルですね。
これがいつものように中国だったら信じてしまうかもしれない。
ただ、よりによってなんでモンゴルよ。
水のイメージないですね。
場所によっては、川や湖ぐらいあるんだろうけどさ。
ほとんど砂漠とか草原でしょ。
水が貴重なはずだよ。
水の無駄遣いですもんね。
作中でこれを得意としてるのが、冥鳳島蒙古三凶撰のフビライ・カーン。
水中での戦いを練習してる暇あったら、騎馬の練習したほうが絶対いいよね。
映画『クールランニング』みたいですね。
続きあります。
“ちなみに、この決闘法で負けた者をモンゴル語で「ドザイ・モーン」(水死の意)と言い、日本で溺死体を「土左衛門」と呼ぶのは、これが語源である“。
ドザイ・モーン!
しかも、”語源である“って言いきったね。
かっこ水死の意、じゃないし!
ほら、やっぱり雑じゃないですか!
「ドザイ・モーン」がやりたくてモンゴルキャラを作った、まであるね。
まぁ、これは騙されないか。
水中の悪魔『モングール・ピラニア』
『モングール・ピラニア』。
民明書房刊『喰うか喰われるか!!世界食通事情』より。
さっきの『水龍䩬球』でフビライ・カーンが放ったピラニア。
モンゴルでピラニア?
“一般にピラニアの獰猛性は知られているが、中でも蒙古・オリノル川に棲息する。モングール・ピラニアは体長も大きく特に凶暴で土地の人々には「水中の悪魔」として恐れられている。その牙は百匹も集まれば水浴びに来た水牛をものの数秒で白骨だけにしてしまう“。
前も白骨シリーズありましたよね?
砂漠のピラニア『甲冑軍隊蟻』ね。
あれは100匹で駱駝を3分以内に白骨化だ。
“蟻の手も借りたい”でしたね。
しかし、このモングール・ピラニアは、同じ100匹でも水牛を数秒で白骨化ですよ。
早すぎません?秒殺ですよ。
『甲冑軍隊蟻』は20ミリ、に対して『モングール・ピラニア』は18センチ。
約10倍違う。
にしても秒殺はないわな。
続きもみようか。
“ちなみに、その肉は大変な美味とされ、燕の巣・熊の掌と並ぶ満漢全席三大珍味のひとつとされている“。
また満漢全席!?
前もありましたよね?
『雪ネズミ』だ。
あれは満漢全席の主盆だったね。
その鼠もそうですけど、ピラニアとかクソまずそうですけどね。
でも、民明書房の『喰うか喰われるか!!世界食通事情』では、美味って書かれてるよ。
その本のタイトルですよ。
なんか軽くなってません?
前はもっとナンチャラ大鑑とかナンチャラ大全みたいだったのに。
たしかには前はお堅い学術書っぽいタイトルだったね。
今はなんだか学研っぽいもんな。
これじゃ騙されない?
これは騙されないですよ。
薄氷を踏む思い『硫陿氷樹』
『硫陿氷樹(りゅうきょうひょうじゅ)』。
民明書房洋書部刊『SKATER’S WALTZ』より。
初めて民明書房洋書部ってのが出てきたね。
初ですね洋書は。
どこの国の話なんですか?
モンゴル。
またモンゴル?
モンゴルで洋書?
モンゴルについて書かれた洋書だってあるでしょ。
まぁそうですけど。
なんとなく欧米モノかなって思ったんで。
これは冥鳳島十六士の蒙古三凶撰シャイカーンが得意とする決闘法。
氷でできた樹の上で闘う。
きれいですね。
札幌雪祭りに出れますよ。
“その起源は蒙古中央部で盛んに行われていた陿氷闘である。これは厚さ約1cmという薄い氷の張った湖沼を選び、そこでいつ氷が割れるかもしれぬという恐怖の中で闘うというものであった。当然、薄い氷を割らずに動くには卓越した体術が必要とされた。後に製氷技術の発達と共に三次元的動きを加味するため、樹を模した氷の上で闘うようになったのが硫陿氷樹の決闘法である“。
最初は、凍った湖の上で闘ってたわけですね。
1cmってのがまた絶妙な厚さだよな。
“ちなみに、現代でも恐怖で身の縮む様を「薄氷を踏む思い」というのは、ここから発する“。
まさにか。
今回はビシッと決まりましたね。
氷樹がなければ信じてしまう人はかなりいるんじゃない?
そうですね!
ただ氷樹がないとちょっと地味ではありますけど。
なら、次の民明書房を見てみようか。
実はこの『硫陿氷樹』は、次の民明書房と関連しているんだ。
なにそれ!初のパターンだ!
名人カクゴール『砕氷凍界』
『砕氷凍界』。
民明書房刊『かき氷屋三代記ー我永遠に氷をアイスー』より。
かき氷屋?
そう!氷をアイスだよ。
ダジャレ?
ちょっとまたふざけだしてません?
そんなことないよ。
これは、さっきの『硫陿氷樹』でシャイカーンが繰り出した必殺技だ。
氷樹の頂に上がりその氷を削ることにより、下に吹雪をおこす。
氷樹を削っちゃうんですか?
もったいない!せっかく綺麗だったのに。
“蒙古究極の決闘法・硫陿氷樹の伝説的な名人カクゴールが編み出した秘技。この技の原理は高速回転によって生み出されたヘルベリン冷凍効果により、周囲の温度を零下30度にまで下げ、相手の体温を奪い、凍結させることにある“。
すごいね!ヘルベリン冷凍効果!
高速回転によって周囲の温度が下がるんだって。
そんなの入ってこないですよ。
難しい?
いや違う!その前!
カクゴール!
伝説的な名人カクゴールね、これがどうしたの?
いや、かき氷じゃないですか!
こんなの絶対「かき氷はこのカクゴールに由来する」ってやるでしょ!
あぁ、それは全く気付かなかったわ。
バカじゃないの!
絶対それしかないでしょ!
ちょっと見てみようか。
“ちなみに、このカクゴールは氷の王者の象徴として、常に氷一文字の旗を背負っていた。現代日本でも夏の巷に見られるかき氷屋の旗はこれに由来する“。
かき氷屋の旛!!!
残念だったな。
由来したのは旛でした。
じゃあ、カクゴールは…
たまたま語感がかき氷と似てただけで、由来はしてないね。
チクショー!
柱脊神経を活動させる『灼炎畷掌』
『灼炎畷掌(しゃくえんていしょう)』。
民明書房刊『人体ーその代謝機能の神秘-』より。
引き続きシャイカーンの必殺技。
手から炎を出す。
炎使いですか。
男塾にしては随分シンプルですね。
だから男塾の中ではあまりパッとしないキャラクターだよ。
でも炎使いなのに、得意な決闘法が氷の上ってのはなかなか変わり種だと思うけどね。
たしかに。
“人間の平熱は36~37度であるが、その発する総熱量はおよそ10万キロカロリーにも及ぶ。その熱量を均等に人体に配分する働きを持つのが柱脊神経であるが、想像を絶する修行によりそれを自在に操り熱を人体の一点に集中することを可能にするのが灼炎畷掌である。この時、その温度は850度にも達し、これが相手の皮膚の分泌物である脂・リン・油汗などを一瞬にして発火させるわけである“。
医術系は難しくて入ってこないですね。
この”柱脊神経(ちゅうせきしんけい)”ってのは怪しいよね。
ここからすでに始まってる可能性あるよ。
”柱脊神経”なんて存在しないってことですか。たしかに聞いたことないわ。
どっちにしても、さすがに発火はありえないですね。
一応、つづき。
“ちなみに、闘志あふれる様をたとえていう「燃える闘魂」「燃える男」という表現は、無意識のうちに柱脊神経を活動させている状態をさす“
ですって。
これはもういいか。
そうですね。
今回はもうおなかいっぱいですよ。
今回は以上です。
相変わらず冥鳳島十六士は量が多いです。
残りは次回。
そして濃い。
ただ、騙されるかって言われたら、『ドスコイカーン』とか『ドザイモーン』とか騙されないでしょ。
そうすると『灼炎畷掌』とか?
”柱脊神経”よかったですね。
でも、発火はありえないでしょ。
となると、薄氷を踏む思いの『硫陿氷樹』しか残ってないね。
1cmの氷ってのが絶妙でよかったですね。
今回のベストでいいんじゃないですか。
ワーストは?
ドザイ・モーンで。
次回につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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