一番だまされる『民明書房』を決めよーう!
出た、『民明書房』!
出た、『魁!!男塾』!
最近、男塾が足りてなかったでしょ?
ちょっと前に外道ワングランプリで山ほどやりましたけどね。
今回は『民明書房』です。
一応、『民明書房』を簡単に説明すると、『魁!!男塾』の作中でよく引用される書籍を発行している出版社。もちろん架空です。
ちなみに創業者は大河内民明丸。
雷電が好きな本ですよね?
創業者って大河内民明丸って言うんだ。
大河内民明丸は、続編の『暁!!男塾』に出てくるぞ。
へえ。
てか、デタラメばっかりじゃないですか。『民明書房』って。
そういうけどさぁ、それはもう『民明書房』がネタということが前知識としてあるからでしょ。
一旦、まっさらな状態で『民明書房』の情報をいれてみなよ。
おれは子どものころ、ゴルフの起源は中国の呉竜府ってのを信じたぞ。
ホントに!?バカだからでしょ?
いやたしか、ゴルフって存在を知った次の日に呉竜府を知ったんだよ。
そりゃ信じるよ。
そんな間髪入れず『民明書房』が入ってくることあります?
まぁ、そういうこともあるだろうしさ。
ここらで決めておこうよ。
これは信じてもおかしくないぞっていう『民明書房』を。
わかりました。
補足だけど、『民明書房』以外にもいろいろと出てくるけど、そこは全部ひっくるめてやります。
また、『暁!!男塾』などの続編は別とします。
まずは『魁!!男塾』ですね。
“魂剣石をも斬る“『一文字斬岩剣』
一発目は、『一文字斬岩剣』だ。
ちなみに『魁!!男塾』で誰がこれを使うか知ってる?
えっ!
と、とがし?
お~い、富樫はこんな長い刀は使わないよ。富樫源次はドス。
一文字流残岩剣の使い手は、二号生筆頭の赤石剛次だ。
いかついなあ、強そう。
てか、赤石って聞いたことありますよ。
あの宝竜黒蓮珠の馮椿(フーチン)の対戦相手だ。
出た馮椿(フーチン)!
そっかあ、あの馮椿と闘った人が赤石かあ。
逆だけどね。あの赤石と闘ったのが馮椿。
まぁいいや、見ていこう!多少、端折るからね。
一九〇五年民明書房刊「剣史記」より。
一文字斬岩剣、世に燈籠切りという。
江戸時代、剣聖とうたわれし一文字流神泉正宗が家康に請われ、
一度だけ御前にて石燈籠を一刀両断、世間を驚かせたという。
あれ?たしかに、これは信じるかも。
ていうか逸話がなんだかマイルドじゃないですか?
『民明書房』ってもっとめちゃくちゃなイメージなのに。
序盤の『民明書房』は結構マイルドなのよ。
ちなみに、不可能を可能にするという“魂剣石をも斬る“ってことわざはここからきてる。
ちょっと待って!
そのことわざは本当にあるの?
どっちだと思う?
ことわざはある!
で、逸話は嘘ですよね?さすがに石燈籠は切れないでしょ。
残念!ことわざもありませーん!
チクショー!マジかーい!!!
これ、信じますね!
一九〇五年刊行っていうのも妙にリアル。
神保町の古本屋の棚に並んでるところが想像できるもんな。日焼けで茶色くなっててね。
ザ・男塾名物『羅惧美偉』
次いくよ。
民明書房刊「ヨーロッパ中世スポーツの起源」より。
男塾名物『羅惧美偉(ラグビー)』。
出た!男塾名物『羅惧美偉』!
これは有名ですね。
その起源は遠くヨーロッパ中世、ラグビー発祥の地イギリス・イングランド地方にあるという。
王侯たちの間でラグビーのチームを持ち、競いあうことが流行。残虐な練習方法も行われた。
ん~、なんか微妙ですね。
『羅惧美偉』は有名なのに。
ただのラグビーの逸話として聞いたほうが信じたかもしれない。
永遠の復讐を誓う『血誓痕生』
民明書房刊「日本風俗奇譚」より。
男塾血誓痕生。
『驚邏大四凶殺』の戦いで出てきたね。
Jが死んだとき、みなでその名を腕に刻んだやつだ。
でも生きてたんですよね。後悔TATOOシリーズだ。
蒙古ジンギス汗の一族が仲間に戦死者がでると、おのれの腕にその名を刻み永遠の復讐を誓った。
近代日本でも極道社会において殺された親分の名を腕に刻み復讐を誓う風習が残っているという。
これモンゴルってところがいいね。中国より信憑性が高まるわ。
ただ、仲間ってどこまでを含めるんだろうね?
負け戦だとしんどいですよね。
長篠の戦いで武田勝頼が『血誓痕生』やったらどえらいことになるよ。
山県昌景、内藤昌豊、馬場信春、土屋昌続、真田信綱 …。
画数多い!これで死にますよ!
ばい菌もはいっちゃうしね。
そうなると、ちょっと考えにくいよな。
Jでギリでしょ。てか、Jだからやったよね。
次に富樫が散ったとき、桃は富樫で『血誓痕生』しなかったし。
富樫は画数多いですもんね。Jで十分痛かったんでしょ。
100キロ離れても聞こえた『大鐘音』
つぎも有名どころ。
男塾名物『大鐘音』。
民明書房刊『戦国武将考察』より。
フレーフレーのヤツか。
武田信玄が上杉謙信との合戦に於いて、遠方の味方の兵をはげますために一千騎の兵をならべいっせいに大声を出させたという。その距離はおよそ二十五里、キロになおすと100キロ離れていたという。
100キロって!東京から熱海までありますよ!
でも騎兵だよ。
いや、兵種関係ないでしょ!
むしろ歩兵のほうが声出そうだし。
いつも「ワー!」つって突撃してんだから。
しかし100キロってのがいいな。これぞ『民明書房』。荒唐無稽じゃないと『民明書房』じゃないからな。
余談ではあるが、昭和十五年の全日本大学野球選手権に於いて、W大応援団のエールは神宮球場から池袋まで聞こえたという記録がある。
余談むず!なんかホントっぽい。
余談はまた絶妙な距離感だな。神宮から池袋。いけそうだもんな。
さすがに100キロは信じないですけど、これぞ『民明書房』って感じですね。
らしくなってきたよ。
あまりに有名な話である『昇龍風』
俗にいう『昇龍風』。
民明書房刊『世界気象大鑑』より。
『大鐘音』がおこした奇跡だ。
崖から落ちた富樫が突風で浮上した。
気象学上は標高二千メートル以上の山の北斜面断崖絶壁に於いて発生する風速百メートル以上の上昇気流。
スコット大佐の英国エベレスト登山隊が昇龍風によって救われたという話は登山家の間ではあまりに有名な話である。
「あまりに有名な話」なんですか。
じゃあ野口健さんも知ってるんですかね?昇龍風。
本当ならね。あれ?もう信じちゃってる?
でも、これはあるでしょ。竜巻で人が飛ぶし。
映画の『ツイスター』で車が吹き飛んでましたよ。
『ツイスター』も『民明書房』かもしれないよ。
えぇー!『民明書房』実写化!
もう何を信じていいかわからないですね。
しかし、これ北に限定しているところがホントっぽいよな。
ただ二千メートル以上ってなんか低くない?
たしかに。四千メートルとかのほうがより信じやすいですね。
それだと、日本ではおきないのか。
おきないことをおこすのが『大鐘音』だよ。
北海道不知火山で見れる『盤隆氷』
続いても自然気象系。
『盤隆氷』。
民明書房刊『氷の化学』より。
虎丸が月光と戦ったステージの氷だ。
サイエンス系は見極めむずいですねえ!
全然わからない!
氷洞の中で急激な温度差によってできるきのこ状の氷。巨大なものは直径二十メートルにもなる。
北海道不知火山近くの氷洞に数多くみられる。
急激な温度差ってことは、ずっと寒いところでは作られないってことだね。
それで北海道か。シベリアとかでは見れないんですね。
ちなみに、この不知火山って知ってる?
えっ、ちょっと待って!まさか!
はい!ありませーん!
この手のはやめてよ。
「氷洞があるという記述を見た。」って言ってますよ。
民明書房の『氷の科学』をどこかで読んだのかもね。
えっ?『氷の科学』はあるの?
なんかもうわけわかんなくなってきた。
“一見必殺”『怒粧墨』
『怒粧墨』。
民明書房刊『肉体の神秘』より。
その『盤隆氷』の戦いで、虎丸に屁をぶっかけられた月光がブチ切れたときに、身体に浮かび上がった入れ墨だ。
中国唐の時代山東省の拳法家が入れていた入れ墨。体温が上昇すると浮かび上がる墨を用いた。体表細胞組織の密度を高め皮膚を硬質化させる効果もあったという。
中国の唐って結構昔ですよね?これはオーバーテクノロジーでしょ。
これが本当なら現代でも普及してるはずだもんな。
硬質化を抜きにしても、体温の上昇で墨が浮かび上がるとしたら、UFCやRIZINの格闘家たちがいれるだろうね。
打ち合いになって『怒粧墨』が浮かびあがってきたら、めっちゃ盛り上がりそう!
平本連選手とか、挑発めいた『怒粧墨』いれそうだよ。
自分だったら何いれる?月光は「一見必殺」って言葉いれてたよ。
見たら殺すってことですか?それいいなあ!
僕は誕生日とかにしようかな!
なんだそれ!
「最終ラウンドすさまじい打ち合い!ペロ丸選手の背中に誕生日が浮かび上がってきたあああ!」ってなるの?
いいですね!みんなに覚えてもらえるし。
なら血液型も入れときなよ。怪我して病院に運ばれたときに準備ができてるよ。
それいいですね。てか、それなら『怒粧墨』じゃなくていいし。
“天縄境場に入る”『天縄闘』
『天縄闘』。
民明書房刊『中国武術大覧』。
これは桃と伊達が戦ったステージだ。
蜘蛛の巣状にはられた石綿綱の八方から火をうけその上で闘う。中国時代後期今の河北省の武闘家たちの間で行われた。火口で行われたという記録も残っている。あまりの危険さに禁止令が発布された。
なんか随分大がかりですね。
でも八方から火をつけたら縄が燃えて切れちゃうんじゃないですか?
縄の中に鋼線でも仕込んでるんですかね。
余談ではあるが、絶体絶命の窮地に追い込まれる意味の「天縄境場に入る」とはここから意を発する。
出たよ!また余談!
もう一回いいですか?そのことわざ。
「天縄境場に入る」。
そのことわざはあるんですか?
どっちだと思う?
えぇ~!
ことわざはある!
ありませ~ん!
チクショー!!!
たしかに仕掛けが派手すぎる。火口に設置とか金と人がだいぶ必要だよな。
山にこもってる中国の武闘家には、そこまでエンタメによってほしくないね。
谷の上にはった一本のロープぐらいでいいですね。
それは伊達vsセティ戦だよ。
変幻自在の仕掛槍『蛇轍槍』
『蛇轍槍』。
民明書房刊『戦国武芸者往来』より。
上の『天縄闘』の戦いで伊達が使った多節な槍だ。
室町時代後期。稀代の槍の達人といわれた辺見鉄山によって考案された。中国の十節棍に改良を加えた変幻自在の仕掛槍である。
操作が難しく鉄山没後に修得しえた者はいないという。
そもそも強いんですかね。
伊達は強いけどね。この武器が強いかは疑わしいね。
こんなだよ。
こんなの絶対普通の槍の方が強いでしょ!
ヘビのおもちゃですよ。
宮本武蔵が戦った鎖鎌使いの宍戸梅軒と戦ったらひどい泥仕合になりそうだな。
鎖鎌と『蛇轍槍』がグチャグチャにからまちゃって。
関節の仕掛けの紐のところに、鎖が絡んだらすごいイライラしますね。
二人で強力してほどかないとダメだよね。
どっちも大事な武器だからね。壊すわけにはいかないし。
すごい仲良くなりそうですね。
徳をなくした”忘六者”『六忘面痕』
『六忘面痕』。
民明書房刊『古代刑法全』より。
伊達の頬についてる傷のことだね。
こんな名前があったの忘れてたわ。
傷に名前があることなんてそうそうないですしね。
中国漢代後期。大罪を犯した咎人に科した刑罰のひとつ。
孝・忠・信・義・仁・礼の六つの徳を忘れた反逆の徒という証に左右合わせて六条の傷を顔面に切り刻んだという。
横山光輝先生の『項羽と劉邦』っていう前漢前の楚漢戦争をあつかった漫画でさ、英布っていうすごい強い武将が出てくるんだよ。
通称、黥布。黥は刺青の意味。昔、罪を犯したために罰として刺青が入っていたから黥布。
『項羽と劉邦』では、額にちょこっと刺青が入ってたよ。
墨いれてる分、史実のほうがえぐいですね。タイソンみたいじゃないですか。
現代でも不逞の輩を指して忘六者というのは、これに語義を発する。
このパターンはもうひっかからないですよ。忘六者ってのもないんでしょ?
正解!忘六者もありません!
あるのは忘八。仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳を忘れた人ってことみたい。
風俗通いの人に使うみたいよ。
言いすぎじゃないですか。
風俗いったぐらいで八つも徳がないって。
また、儒教で徳というと、仁・儀・礼・智・信の五つみたいよ。
たしかに、横山漫画とかでもこの徳が出てくることあるけど、まず仁・義・礼から始まる印象だよね。仁義って言葉があるぐらいだし。
忘六はなんでしたっけ?
孝・忠・信・義・仁・礼。
微妙な改変!
どこかで披露してたら、目も当てられないよ。
当時いたと思いますよ。
東京に出た人が地元に帰った時とかね。
賢くなったと思われたくて飲み会で「おまえは忘六者だな」って。
うわぁ、恥ずかしい。
これは危険ですよ。
以上が『驚邏大四凶殺』までに出てきた『民明書房』でした。
今回はいったんここまでにしましょうか。
どれが一番信じちゃう?
今の『忘六者』は信じちゃいますね。
『六忘面痕』ね。
ただ徳は六つじゃなく八つでしたー!、とか言われてもね。
どっちでもいいしな。
もっとデタラメに満ちたものがいいですね。
一発目の『一文字斬岩剣』もよかったなあ、ことわざも含めて。
“魂剣石をも斬る“ね。
あれは、江戸時代と家康以外、全部デタラメだもんな。
こういうほうが『民明書房』らしいね。
それなら”不知火山”じゃないですか?氷のキノコの。
『盤流氷』か。
これは実際に騙されてる人がいたからな。
では、『盤流氷』が暫定王者ってことで。
ちなみにワーストは?騙されないほう。
100キロの『大鐘音』でしょ。
さすがに無理ですよ。
でも、松尾のエールなら届くかもね。
②につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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