その中で最も気持ちよく人を騙せるベスト民明書房を決めるシリーズ。
今回はその⑭。前回から『七牙冥界闘』編の民明書房を選定中。
①はこちらから。
前回はこちら。

前回から『七牙冥界闘』編の民明書房に入っております。

気持ち狂度が増してるような気が…

鋭い洞察力だね。
そう、フロッピー編の民明書房はよりイカれてます!

それでは、今回もはじめていきましょう。
例によって、多少端折りながら進めます。
また、太公望書林などの民明書房以外の出版社も含めます。
バットマンかく語りき『魔翔流気法』

『魔翔流気法』。
民明書房刊『バットマンかく語りき』より。

バットマン?

バットマンの自伝みたいだね。

新しいパターン!
ジョーカーとかゴッサムシティのこと語ってるんですか?
バットマンが?

引退したバットマンが半生を振り返ってるのかもね。
とりあえずみてみよっか。

“太古の昔から空を飛ぶことは人類の見果てぬ夢だった。それを最初に実現したのはライト兄弟とされているが、実は古代中国の山岳地方に住む抜娉族の手によって成し遂げらたという“。

ちょっと待って。
古代中国?
これ本当バットマン?

まさかバットマンがライト兄弟のことを語りだすとは思わなかったな。

ただバットマンって世界中をまわって色々なこと学んだからさ。
古代中国に精通していてもおかしくないでしょ。

そういえば映画でもチベットやネパールっぽいとこにいましたね。

“彼らは谷間から常に吹き上げる強力な上昇気流を利用して空を飛び交通や軍事に用いた。もちろん、だれにでも飛行ができるわけでなく選ばれた人間が苛酷な修行を重ねて初めて出来る技であった“。

彼らって誰ですか?

さっきのでしょ。”古代中国の山岳地方に住む抜娉族(ばっとうぞく)“。

ばっとうぞく!

嫌な予感しかしませんね。

“ちなみに、この技を会得できるのは一万人にひとりと言われ、達成者は「抜娉万(ばっとうまん)」と呼ばれ、称えられたという“。

ばっとうまん!
やっぱり!

まさに『バットマンビギンズ』だね。

いや、男塾だし!
てか、なんでこんな話になったんですか?

『王宮への道』五人衆のひとりデバレスっていうのが、空をとぶコウモリキャラだった。

そいつが、”ばっとうまん”だったんですね。

でもさ、すでにコウモリキャラは我らが鎮守直廊三人衆のひとり蝙翔鬼がいたはずよ。
だから二人目だよ、コウモリキャラ!
まぁ蝙翔鬼はこの時点で死んでるけどさ。

たしかに一作品二蝙蝠は珍しいですね。

そして、十五人ほどの毒使い。

毒使い多いなあ!

ちなみに、このバットマンネタは続編の『極!! 男塾』でも出てくるよ。

何回やるの!?

さて、そんな”ばっとうまん”の逸話でしたけど、あなたは信じますか?

信じるわけないでしょ。
武術師範宝浜具『鉄騎宙弾』

『鉄騎宙弾(てっきちゅうだん)』。
民明書房刊『玩具に視る古代中国の英知』より。

古代中国が続くね。

これはまたトンデモナイ代物が現れそうですね。

“拳法において身のこなしの素早さは最も重要であるが、それを倍加させる為の道具がこの鉄騎宙弾である。その原理は至って単純であり、バネと体重による反発力を利用したものである。これを発明した中国漢代の武術師範・宝浜具はこれを使って地上30メートルまで跳躍し人々を驚嘆させたという“。

『鉄騎宙弾』とやらは道具なんですね。
しかし、30メートルって跳びすぎじゃないですか?

『王宮への道』五人衆のひとりヘルバーっていうのが使ってた。
こんな感じ。


完全にホッピングですね。
てか、このヘルバーって奴が、勝手にホッピングを『鉄騎宙弾』って言ってるだけですね。

でも、ホッピンング史上で”貴様がごとき俺のではない!!“って言いながらプレイした奴はヘルバーが初めてじゃない?

そんな殺伐としたものじゃないですからね。
あと、あんまりホッピングをプレイとも言わないですよね。
外国人じゃあるまいし。

たしかに。
中国発明って書いてあるしな。

ちょっと待って!
さっきの”中国漢代の武術師範“、あれホッピングでしょ!

“宝浜具(ほうぴんぐ)“?

それ!
絶対このあと、「ちなみにホッピングは宝浜具に由来する」って続くよ。

“ちなみに、日本でも昭和30年代に子供達の間で流行した同形状の玩具「ホッピング」の名称は、この発明者・宝浜具(ほうぴんぐ)に由来する“。

見事だな。

さすがにこんだけやってますからね。

ちなみに、日本で初めてホッピングを輸入して販売したのがタカラ。今は合併してタカラトミーだね。
だから偶然かもしれないけど、”宝浜具”の宝は、このタカラともかかってるんだよな。

えっ、そうだったんですか!

いや、いま適当に作った。

チクショー!
気性の荒い樵『浮木流闘』

『浮木流闘(ふぼくりゅうとう)』。
民明書房刊『アラスカ大紀行』より。

珍しく字面から中身が推測できるね。

流れる木の上で闘う?
川の流木の上で闘うんですか?

大正解!

“その発祥は、開拓時代のアラスカとされ気性の荒い木樵達同士の揉め事に決着をつける為の史上類稀なる苛酷な決闘法であった。もちろん、両者死亡の可能性も高い危険な決闘法であり、これに挑戦すること自体が勇気の証とされた。なお、1930年当時の州政府によって禁止されたが、現在でも密かに行われているという噂もある“。

気性の荒いきこり。

いいワードだよな、気性の荒いきこり、きこりの揉め事。

荒いイメージがないですからね。
しかし、今までいろんな決闘法がありましたけど、これが一番できそうじゃないですか?

戦いになるかは別として、会場設営のコストは低そうだね。
濃硫酸の巨大鍋もいらないし、火口の上に蜘蛛の巣はらなくていいし。

ありましたね!今までのが大がかりすぎた。

これは騙されるんじゃないですか?

旅先で知り合った人からこんな話聞かされたら間違いなく信じちゃうね。

ちなみに、この闘いは『剣座天虣耐』で桃と度胸試しした東郷総司が挑戦しました。
しかも、バイクに乗りながらね。

バイク!?
流木の上で闘うのに?
で、どうなったんですか?

東郷が勝ったけど、バイクは激流にのまれたね。

でしょうね!
やっぱり男塾行くだけあって馬鹿ですね。
室内戦用武器『趨滑襲』

『趨滑襲(すうかっしゅう)』。

スカッシュ?

いや、違う。趨滑襲(すうかっしゅう)。

民明書房刊『室内競技における中国文明の影響』より。

室内競技って言ってるし!
スカッシュだよこれ!

スカッシュじゃないって。
見てみなよ。


スカッシュ…じゃない…。

だから言ってるでしょ、趨滑襲(すうかっしゅう)って。
辵家の奥義だよ。

あんな兇悪な刃がついたスカッシュは見たことない。

なぜ、あんな刃がついているのか、民明書房を見てみよう。

“中国明代に室内戦用に考案された武器。その特色は、刃の両端にある極めて弾力性に富む球状の特殊ゴムである。これを打ち、壁や床・天井に反射させ敵を攻撃した。もちろん、その反射角度は精妙な計算が必要であった“。

刃さえなければスカッシュですね。

さらっと”室内戦”ってワードが出てるけど、そんなことある?

たしかに聞かないですね。
市街戦とか攻城戦なら聞きますけど。

三国志でも室内戦なんて一回もないでしょ。

十常侍が殺されたときは?

袁紹が十常侍を皆殺ししたときか!
宮中に兵を進めてたから、室内戦かもしれないな。
でも、高い壺とかあるだろうし、そんなとこで趨滑襲したら怒られるでしょ。
張譲ブチ切れそう。

殺されるときに壺の心配なんかしないでしょ。

“ちなみに、現代の室内球技・スカッシュの原型がこれであることは賢明な読者の推察通りである“。

おい、民明書房に推察されることを読まれてるぞ!

なにこのパターン!新しい!

読まれることを読む。
民明書房も新章に突入してるね。

どこに向かっているのか、わからなくなってきましたね。

今回は以上です。
いかがでしたか?

今回はいつにも増してひどかったですね。

強烈な民明書房が連発したからなあ。

宝浜具、趨滑襲、抜娉万。
濃厚でしたね。

そんな中で、最も騙されてしまう民明書房はどれでした?

う~ん、流木ですかね。
ちょっと薄味でしたけど。

『浮木流闘』か。
まぁ、他に騙されそうな話がなかったしな。

そうですね。
ワーストを決めるなら、バットマンですけど。

抜娉万(ばっとうまん)な!
次回につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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