魁!!男塾の『民明書房』で一番だまされてしまう逸話を決める。
今回はその④、『大威震八連制覇』の後編。
①はこちらから。
②はこちらから。
③はこちらから。
誰もが騙されてしまう『民明書房』はどれだ?っことで、前回は『大威震八連制覇』の途中まで見ていきました。今回はその続きですね。
中津川大観とかいうトンデモ学者が出てきましたね。
時源出版だっけ。民明書房より目立ってたね。
あと”ラオロウ”とかいうのもありましたね。
“ラオロウ”というのはこの所以なりって。
ラオロウスギはもろいから気を付けてね。
では、今回もはじめましょう!
また、例によって多少端折るよ。
殺人拳戮家の奥義『千条鏤紐拳』
『千条鏤紐拳(せんじょうろうちゅうけん)』。
民明書房刊『戮家その全貌(りくけそのぜんぼう)』より。
大威震八連制覇の第二戦。
男塾死天王の一人センクウが見せた戮家の奥義だ。
戮家。すごい名前ですね。
『戮家その全貌』って、じゃあこの本は戮家についてのみ書かれた本なんだ。
この戮って字を見ることある?
殺戮か戮家でしか見ないよね?
まず戮家が初見です。
“殺人拳法魍魎拳とその勢力を二分した戮家秘伝の拳。目に見えぬほど細いが恐ろしいほど鋭く研ぎ澄まされた刃物のような鋼線を自在に操る。その威力は骨をも寸断するといわれる”。
魍魎拳って前回出てきた卍丸の拳法ですよね?いろいろ疑惑のあった。
中津川大観の書と卍丸の証言に食い違いのあった魍魎拳だね。
出た中津川大観!肩書きいろいろあったけどトンデモ学者でしたね。
今回は大丈夫よ、中津川じゃないから。
で、どう?ありそうじゃない?『千条鏤紐拳』?
ありそうだし、シンプルで強そう。
さらに、鋼線の上にコマを乗せてまわすこともできるからね!
コマ?なんでわざわざ。
鋼線は、見えないから強いでしょ?それやったら鋼線の場所がまるわかり。
コマのっけたら見栄えがいいでしょ?センクウはそういうとこあんのよ。
急に薔薇くわえたりするし。
ところでさ、都市伝説で首なしライダーってあるでしょ?
ありましたね。
抗争中の暴走族が道路にピアノ線をしかけて、みたいな。
あれが世に広まったのは、『千条鏤紐拳』の影響だよ!
映画『スリーピーホロウ』が世に出たのも、男塾の後でしょ?
後かもしれないけど、ティム・バートンは『戮家その全貌』読んでないでしょ!
男爵ディーノの愛鳥『死穿鳥』
次はおまちかね。
『死穿鳥(しせんちょう)』
民明書房刊『世界の怪拳‣奇拳』より。
これは、ま、まさか!
でたー!死穿鳥拳!
ぜんっぜん当たらないやつ!
そうです。あの当たらないやつです。
おさらいすると、大威震八連制覇の第三戦で伊達vs男爵ディーノでディーノが繰り出した必殺技です。
“中国雲南省原産鷲鷹科の猛禽。その性質は極めて攻撃性に富み、その特徴的な鋭い嘴で獲物の急所をたくみにねらい、時として牛馬をも倒すという。明朝末期、拳法家の宗大源はこれを飼いならし、嘴に速効性の劇毒をぬり、己の拳法との同時攻撃という死穿鳥拳を完成させたという”。
鷲鷹科がひっかかるけど、前半はなんだかありそうだよね。
オーストラリアにいるでっかいワシはカンガルーを倒せるらしいですからね。
マジか!リアル死穿鳥いるのか!
それはさておき、問題は後半部分よ。拳法家宗大源のくだり。
これ鳥が死ぬでしょ?嘴に劇薬ぬるんでしょ?
鷹匠が聞いたら激怒しそうな話だよ。
毒は自分の武器に塗ればいいしな。拳法家宗大源、ひどいやつだよ。
鳥と同時攻撃っていうけど、鳥が間違って自分を傷つけることもあるでしょ。
男爵ディーノに至っては、この嘴に毒を塗った鳥を帽子の中に隠してたからね。
嘴が頭を傷つけたらおしまいよ。
その戦いで死穿鳥はどうなったんだっけ?
同時攻撃失敗し、ディーノの棘殺怒流鞭(きょくさつどるべん)に身体を貫かれて死亡よ。
宗大源が泣いてますね。
さすがにちょっとかわいそうだったね。
自業自得とはいえ、愛鳥を自らの手で殺めてしまったんだからね。
そりゃこんな顔にもなるよな。
これ男爵ディーノ?
泥酔した結婚式の翌日、みたいなリアクション。
鏡見て「おれ一体何しちゃったんだろう」って。
髭はなくなってるわ、髪型いかれてるわ。
髪型は元々でしたっけ?
トレードマークのダンディズム髭は伊達にむしられた。
ただ髪型はもとから。
もしかしたらあの髪型で、帽子の中の死穿鳥を落ち着かせてるのかもね。
習性が独特!
てか、男爵ディーノの話になってるし。
ディーノが絡むと判定できないよ。
肉体の神秘『練活気挿法』
『練活気挿法(れんかつきそうほう)』
民明書房刊『肉体の神秘とスポーツ』より
これは、大威震八連制覇の第三戦、伊達vs羅刹で伊達が羅刹の兜指愧破を返したときにみせた技?
“人間は自己の潜在的肉体能力を50~60%しか使用してないという。気挿法の目的は自己催眠をかけることによって自らの能力を100%引き出すことである。自己催眠に至る方法として種々あるが、密九教の呪文を唱えることが多い。現代でもスポーツの超一流選手はこの法を人知れず体得しているといわれている”。
えっ、これはあるんじゃないの?
よく聞きません?人間の肉体は100%の力が出せないようになってるって。
聞くね。
なんなら脳も100%使ってないって聞くよ。
『グラップラー刃牙』では、末堂がテンプレート装着して30%パワーアップするって言ってたしね。
あった!テンプレート!
これは信じちゃうというか、まだ信じてるわ。
てか、なんか民明書房らしくないですよね。
真実味は強いけど、ちょっと薄味か。
羅刹が空を舞う『鼯樵橤拳』
『鼯樵橤拳(ごしょうずいけん)』。
民明書房刊『奇跡の鳥慶漢(きせきのうーけいはん)』より。
うーけいはん?
そう、鳥慶漢。
大威震八連制覇の第三戦伊達vs羅刹で羅刹がみせたムササビ拳法だ。
羅刹が空を飛ぶんだよ。
羅刹が空を飛ぶ!?
哲学の話?
“中国屈指の大樹海地帯、鳥慶漢で発生した拳法。その特長はムササビの動きを模した形象拳であり、木立などの高所での戦いを得意とした。鳥慶族は少数民族であり他民族や外敵から身を守る手段として木の上に住む樹上生活者であったためこの拳法があみだされた。その空中自由自在のすさまじい攻撃力の恐ろしさから、この地には決してよそ者が近づかなかったという”。
濃いのが出てきましたね。
濃厚。そして、ロマンがある民明書房だよ。
鳥慶漢は、中国の樹海だったんだね。
これもホントですか?前の北海道不知火山みたいなことなんじゃないの?
民明書房刊『氷の化学』にのってた『盤流氷』があるという不知火山ね。
民明書房に騙された人がネットで不知火山について質問してるというね。
鳥慶漢もその類でしょ?
でも、樹上生活者の鳥慶族ってめちゃくちゃロマンあるよね。
樹上生活者ってだけでも引きがあるのに、さらに独自の拳法だよ?
木を登ってきた虎とか熊とかと戦うわけですね。
映画化してほしいですよ。
みんなで盛り上がろう『黒闇殺』
『黒闇殺(こくおんさつ)』。
民明書房刊『世界の怪拳・奇拳』より。
また『世界の怪拳・奇拳』!
伊達vs羅刹で羅刹がみせた地味な暗殺拳。
“闇夜や暗い屋内での殺傷を目的とした暗殺拳。修行は、目隠しをし禅を組み、他のものに針を地に落としてもらいその気配を察知することから始める。始めは耳元からだんだん距離を遠くし、最低でも十Mの距離から針の気配を察知できねば、この拳を極められないという”。
なんか地味ですね。
羅刹はこれをやるために、わざわざ煙幕を焚いてたよ。屋外の戦いだったからね。
どうしても見せたかったんですね。
友だちとの宅のみでやったら盛り上がりそうだよね。金もかかんないし。
いいですね!今度やりましょう黒闇殺。
なんだか言いたくなる『ブルッツフォン・ポイント』
『ブルッツフォン・ポイント』。
民明書房刊『分子核構造その理論』より。
大威震八連制覇の第四戦前に月光が見せた神業。迫りくる巨大鉄球をブルッツフォン・ポイントを見極めることで破壊した。
ぜんっぜんわかんない。
“全ての物体は分子の集合によって成り立っている。その中でも鉱物は特異な構造をもち、その分子集合体の凝集力の一番弱い箇所に衝撃を与えると、その分子間の連鎖反応により、極めてたやすく物体は破壊される。この物体の臍というべき箇所は学術的にブルッツフォン・ポイントと呼ばれる”。
うわっ、難しいなあ。
“ダイヤモンドにおいてもブルッツフォン・ポイントを見極めれば、蚤の一撃で一瞬にして粉々にすることも可能である。しかし、至難の業であり、ダイヤモンドのカット職人でも30年近くの修行が必要という”。
これを友だちが酒の席で話してきたら信じますよ。
話したくもなる!『ブルッツフォン・ポイント』って言いたいもんね。
ダメですよ!民明書房ですからね。
これもよかったら宅飲みでやってみてください。
すぐ飽きますよ。
青牙山での決闘『宙秤攣殺闘』
『宙秤攣殺闘(ちゅうびんれんさつとう)』。
民明書房刊『拳法興亡史』より。
大威震八連制覇の第四戦、一号生対三号生の最終戦で行われた決闘法。負けた方は全員死亡。
ホントろくでもないことばっかりやりますね。
“中国拳法史上、唯一度だけ行われたという史上最凶の戦い。明朝末期の一六一五年二月二十九日。場所は格闘技の聖地といわれた雲南省青牙山山頂火口。当時雲南地方で勢力を二分し、抗争にあけくれていた南陽拳と北陰拳の戦いに終止符を打つべく、時の皇帝の命により双方およそ三百人からの全弟子を天秤にかけ、両派最高師範がその存亡をかけて戦ったという”。
ちなみに、この天秤にかけるっていうのは比喩ではありません。全弟子を入れた檻を火口に設置した天秤につるします。
しょうもない皇帝だな。
今までも大がかりな決闘法あったけど、皇帝プロデュースは初めてじゃない?
さすがに中国の皇帝なら作れるか。
年月日や場所が詳細に記されてるのも初めてですね。
中国の山はわかんないよ。チンポコ山みたいなこと言われないかぎり信じちゃう。
ちなみに、これどっち勝ったんですかね?
北陰拳だって。敗れた南陽拳は全滅し拳法史上から姿を消したとのこと。
うわぁ、ってこれ民明書房だった。
青牙山には近寄らないように。
最後のロマン『気功闘法』
『氣功闘法(きこうとうほう)』。
民明書房刊『氣 – その効用と実践』より。
男塾にも氣があったんですね。
大威震八連制覇の第四戦、桃対邪鬼は氣の戦いよ。
“氣とは人間の肉体のもつ生体エネルギーのことを言う。本来人間だれしもがもつエネルギーではあるが、武術として応用するには並外れた修練が必要だとされている。中国の氣功闘法の達人は己の髪の毛に氣を注入することにより、これを針金のごとく化し敵の急所を突き、一撃のもとに絶命させたという”。
氣に関する話はいろんな作品で目にするね。
氣はあると思ってますよ。
いやホントよ。
UMAもオーパーツもどんどん解明されてくし、氣は最後のロマンよ。
野生の動物を氣で眠らせることができる達人がいるんだよ。
あの人は本物であってほしいなあ。
ただ、これは民明書房ですからね。
じゃあ氣はないのかい?
いや、氣はあると思いますよ!
ただ、
あまり人前で言わない方がいいだけです!
そうだな!
氣の話をするときは、場所や相手を選ぼう!!!
そうしないと、ヤヤコシイ人って思われちゃうね!
以上、大威震八連制覇に出てきた民明書房でした。
今回はあまりぶっ飛んだものがなかったね。
でも、”奇跡の鳥慶漢”の『鼯樵橤拳』はよかったかな。
『ブルッツフォン・ポイント』も
誰かから聞いたら信じちゃいますね。
ただ、今回は鳥慶漢でいいと思いますよ。
ワーストは?
『死穿鳥』でしょ、当たらないし。
次回はいよいよ、天挑五輪大武會。
ここからが本番よ。今までは前座。
これぞ民明書房というイカれた逸話がもりもりでてくるよ。
4回もやってきて前座!
⑤につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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