その中で、誰もが騙されてしまう嘘話を決めようシリーズ。
今回はその⑮。
①はこちらから。
前回はこちら。
引き続き『七牙冥界闘(バトルオブセブンタスクス)』編です。
『七牙冥界闘(バトルオブセブンタスクス)』編は粗くなってきましたよね。
宝浜具(ほうぴんぐ)、趨滑襲(すうかっしゅう)、そして抜娉万(バットウマン)!
今回も不安ですよ。
実は違法行為『垂鼇尖』
『垂鼇尖(すいごうせん)』。
曙逢莱新聞社刊『大江戸流行 JUST NOW』より。
曙逢莱新聞社?民明書房じゃない出版社ですね。初めての登場だ。
本のタイトルが軽いね。JUST NOW って。
なんか古いし。
この『垂鼇尖(すいごうせん)』ってやつ、まったくイメージがつかめないですね。
七牙冥界闘第三の牙、アルカトラズ島刑務所。
死刑囚宝兄弟の弟銀棠(ギンタン)が、闘いの前に見せたパフォーマンス。
アルカトラズってありますよね。
実在した施設も登場するんですね。
第三でちょっとリアリティを加えてきたんだね。
第一の牙なんて、南極にある塔だったからね。
魍魎塔五人衆とかいう連中がいたけど、普段どうやって生活してるんだか。
で、その銀棠のパフォーマンスがこれ。
あー!学校でやったやつ!
ボールペンとかでやったでしょ?たまに猛者が彫刻刀で挑むやつ。
スピード上げると怖いんですよね。
でも、あれって名前知らないわ。
そう、あれの名前が『垂鼇尖(すいごうせん)』だ。
ホントかよ!!
“その源流は中国にあるが、江戸中期、主に大工や畳職人等手先の器用さを要する人々の間でその技術と度胸を競い盛んに行われた。当然、これには技術力はもちろんのこと並はずれた集中力を要し、指を落としてしまうのも日常茶飯事であった。明治維新を機に政府によって禁止されたが、これを愛好する者は後をたたず、現代でも会社や学校でペンや鉛筆を使い、小きざみに机などを突いて訓練しているのは、よく見かける光景である”。
政府によって禁止されてるって。
まさかの違法行為だよ。
これは、結構騙される人いるんじゃないですか。
実は違法行為ってあるもんなあ。たしか道端にツバを吐くのも違法行為なんだよね。
そうなんですか!気をつけよ。
明治政府ってところがいいよ。
昔はそんなことも禁止にしたかもねって思わせる。
廃刀令にも近いですしね。
明日にでも誰かに話したいわ。
青巾の乱再び『天翔椿』
『天翔椿(てんしょうちん)』。
曙逢来新聞社刊『世界の名物兄弟ーこの兄あってこの弟ありー』より。
またもや曙逢莱新聞社、来の字になってるのは誤字かな。
曙逢莱新聞社が続きますね。
しかし、惹かれるタイトルの本ですね。
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとアントニオ・ホジェリオ・ノゲイラはのってるだろうな。
あれは双子でしょ。
双子は別で『世界の名物双子』があるんじゃないですか。
“その発祥は中国宋代に起こった青巾の乱の折、豪傑と名高かった龍兄弟があみだしたことにある。人を頑丈なロープでくくり振り回すという前代未聞のこの技は、いわば意志をもった鎌であり、その威力と攻撃力は絶大なものであった。当然両者には絶妙な呼吸の一致が要求され、血を分けた兄弟だからこそなし得る技である“。
人をロープで振り回す技?
身体のでかい宝兄弟の兄・金棠が、前述の銀棠をロープでくくって振り回し、
富樫・虎丸コンビを攻め立てた。
2vs2 でそれをやったら、1人減っちゃうじゃないですか。
その代わり、強力な武器を手に入れられる。
なんかソシャゲーみたいですね。
そうね。弟を生贄にしてレア度の高い武器をゲット。
そして、もうひとつ注目すべきは”青巾の乱“よ。
あれ?”青巾の乱“って前もありませんでした?
そうでしたっけ。
で、今回が?
“その発祥は中国宋代に起こった青巾の乱の折、“
うわぁ!かぶった!
色かえればよかったのに!
緑とか紫とか、まだ残ってたのにね。
そして、中身もひどい。
弟をロープで振り回すって、酢漬けに続いての虐待案件よ。
これはワースト候補ですよ。
振り回したい兄『覬相鋼怨面』
『覬相鋼怨面(きそうごうおんめん)』。
曙逢莱新聞社刊『鉄仮面の告白』より。
曙逢莱新聞社が続きますね。
そして、また宝兄弟ネタ、今度は兄貴の金棠の技。
鎖付きの鉄仮面を相手にはめて、振り回す。
振り回してばっかだな!兄貴!
振り回すのが人間ってところがタチ悪いですね。
“その発祥は中国明の時代、咎人に対し一生はずせぬ鉄製の面をはかぶせるという刑罰である。死ぬまで言葉もしゃべれず食事も満足にできぬこの状態は言語を絶する苦痛であり、国家反逆罪等特に重刑に適用された“。
鉄仮面の有名な話はフランスでしたっけ?
フランスだね。ずっと鉄仮面を着用していた正体不明の囚人がいたってね。
いいとこの人だったんだろうなあ。
ここまではありそうな話ですね。
“それが拳法に応用され技として確立したのは、超磁気を帯びた磁石の発見によるところが大きかった。磁力を帯びて二つに分割された面が敵の頭部で結合し、それについている鎖で身の自由を奪われたとき勝負はすでについたも同然であった。この技の発祥以来脱出できた者は一人としていないという“。
急に何言ってるかわからなくなりましたね。
拳法に応用したってとこはわかるけど、磁気の件からは仮面の着脱の話なんだよなあ。
そんな技術面を語られてもねえ。
そもそも、そんなもん誰もかぶらないでしょ。
“ちなみに現代でも無口で無表情な人が「鉄仮面」“
って、もういっかこれは。
そうですね。
次行きましょ。
ついに『シックス・オン・ワン』
『シックス・オン・ワン』。
曙逢莱新聞社刊『撃って候(そうろう) 早くてゴメン』より。
タイトルよ!!!
ついに下ネタ!
どんだけデタラメでも、それだけは避けてたのにな。
でもこれも民明書房ではないですよ。
また曙逢莱新聞社!
民明書房つぶれたか?
“アメリカ合衆国の開国当時、銃はその未開の地にあって開拓者たちの生命や財産を守る重要な武器であった。そうした環境の中では当然射撃の腕が切磋琢磨され、決闘の場合などコンマ一秒でも早く引き金を引けるということは命を左右することであった。その早撃ちの極限とも言うべきものが、このシックス・オン・ワンであり、その名の由来はあまりの早さのために六連発リボルバーの銃声全てが重なり一発に聞こえたことにある“、
すごいありそうですけど…、
うん。
『撃って候(そうろう) 早くてゴメン』が強すぎて入ってこないね。
タイトルに比べて中身は結構まともだし。
次行こうか。
盛田慎之介登場『無髐楼覚』
『無髐楼覚(むきょうろうかく)』。
日本曙逢莱武術協会理事長 盛田慎之介談。
は?
日本曙逢莱武術協会理事長 盛田慎之介談。
ついに書籍でなく、談話になっちゃったよ。
曙逢莱って新聞社だけでなく武術協会もあるんですか!
民明書房はどこ行っちゃったのさ!
“すべての人間の感覚(視覚・聴覚・嗅覚など)は、その入り口である目や耳鼻などから、それぞれの感覚神経を経て、すべて中枢神経である脳へと伝令されて知覚される。この奥義無髐楼覚は、玉黄石など特殊な金属でつくられた鈴から発する超高周波数の音波が脳を刺激し、特に視神経を麻痺させる効能を利用して相手の目の遠近感や幅の感覚を攪乱させる技である“。
要は、特殊な鈴の音で視界をおかしくさせるよって技だ。
なんか難しいなあ。
盛田の奴、もうちょっとわかりやすく話せないかな。
ちなみに、盛田はこんな奴ね。
誰だよ!!!
だから、曙逢莱武術協会理事長、盛田慎之介だよ。
知らんよ!
めっちゃ笑ってるし!
こんな笑顔できる人がデタラメを言うわけないでしょ。
胡散臭さでいっぱいですよ。
ひどいなあ、ちょっとグルっぽいけどさ。
武術ってより、そちらの香りがしますよ。
しかし、えらいの出てきましたね。
中身が入ってこないですよ。
『曙逢莱武術協会』と『曙逢莱新聞社』の関係性も気になるね。
今回は以上です。
今回のベストだまされ民明書房はどれでしたか。
『垂鼇尖』ですかね。あれに名前をつけたのはよかった。
盛田のヤツもいいんですけどねえ、ちょっと小難しい。
『嘘かよ!!!』ってのが欲しいからね。
そしたら『垂鼇尖』かな。
ワーストは?
弟振り回すヤツです。
次回へ続く
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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