【シグルイの狂人たち】三重の化粧箱に蝉の死骸！暗君徳川忠長【後編】

第二位、三重。

発端は、あの道場での男女の契りの場。

種に執着する虎眼により、尊厳を無視したまぐわいを強制されそうになった日。

場にいた虎眼の弟子らがすべて傀儡と化す中、

相手の伊良子清玄だけが傀儡でなく、彼の機転により三重の誇りが守られた。

”伊良子は清玄は傀儡ではない、もっとおぞましい何かだ”

いっぱしの好々爺の顔。

お年玉すんごいくれそう。

いくは相当いい女なんだろうね。牛股が乳首を喰うぐらいだし。

そして、あの伊良子清玄仕置の日、

”この日、生まれ出でた怪物は二匹、いや三…..”

瀬安じゃないよ、三だよ。

その裏であの凄惨な仕置が発生、

伊良子清玄といくは落花流水となり、三重の入る余地はなくなってしまった。

三重の化粧箱には、大量の蝉の死骸と、顔を切り裂いた雄雛。

以前に夜這いもあった。いくと間違えてるのかと思ったら、

「三重め、ようやく器が整いおった」。

まさかの虎触診！

その年の初雪の日。

三重は家宝の妖刀「七丁念仏」を持ち、じゅばん一枚で家を飛び出した。

それから数ヶ月経った中秋の十五夜、三重の肉体に再び潤いが戻った時、

屋敷に伊良子といくがやってくる。

岩本屋敷が死屍累々の地獄と化した時、三重は白装束で血の海に座した。

そこで、”うどん”がこぼれた。

常人が許容できるストレスをとっくに超えてるよ。

その後の御前試合に向けての藤木源之助との暮らしは正気だったのかね？

たしかに藤木がいくに発砲されたとき、三重は平然と紅を差してたよ。

もはやグリーンベレーのメンタル。

己にとっての瞬間か、それとも一般論としての理解か。

端から絶望しており、復讐だけが希望だったのか。

聖なる瞬間で一時は希望を見出したが、再び絶望に陥ったのか。

第一位、徳川忠長。

三代目将軍徳川家光の実弟、通称駿河大納言。

狂った封建社会の最高層に位置する男は、

誰よりも狂っていた。

「暗君」ってときね。

そして、袴の裾を踏んだだけで手討ち！

藩士の妹だった娘ね。

その兄が忠長に斬りかかったけど「血迷うたか」と制止された。

殿は剣術も身につけてるから、この乱心者を制止した家臣の腕ごと斬り落としてる。

家臣も「お見事」って。

駿河城はアットホームの対義語だよ。

忠長に呼びつけられた女の子は頭を踏まれたし。

賎機検校すら蹴られてるから。

見えないからダメージでかいよ。

なんか腹が立ったんだろうね。

賎機検校ではないけど、仇討ち後の当道者たちはだいぶ浮かれてたし。

さすがにやらんでしょ。

これやったら、そりゃ蹴られるわ。

そうね。だからディズニー行った自慢に聞こえたのかな。

そりゃ、蹴り上げて、脇差で刺したくもなるわ。

将軍になれなかったのがすべてじゃない。

自分が将軍になるって信じて疑わなかったんだろうね。

いや、あの方も現代だから”死刑死刑死刑死刑”のメッセージだけど、

あの封建社会だったら、ガチで手討ちにしてるでしょ。

忠長の母は、絶世の美女といわれたお市の娘、崇源院於江与。

この美貌を受け継いだ忠長は、次の将軍と期待され両親から溺愛された。

将軍オッズ1.2倍のときは、多くの大人がひれ伏してたからね。

まだチン毛も生えてないのに。

それはもういいよ！

たぶんチン毛は生えてるよ。

それが、春日局が長幼の序を正したことで、

将軍オッズが500倍！

御前試合も忠長の頭の中では十万人の士がひれ伏してるはずだったからね。

己が将軍ではない”狂った現実”を正すために、それぐらいは集まると思ってた。

あの御前試合前、忠長の叛意が見え隠れしているとき、

伊達政宗や土井利勝の立ち回りがかっこいいんだよ。

歴史は勝者が記すから、負けた者は悪く書かれがち。

殺生関白こと羽柴秀次さんの悪行も盛られてるっていうしね。

『シグルイ』でも冒頭で忠長の数多くの暴虐伝説は俗説であり、史実とは証明できないって書かれてるからね。

その俗説によると、1240頭の猿を射殺したらしいぞ。

しかもニホンザルかわいいからね。

プーキーズのカイくん、すごいかわいいぞ。

血みどろの話ばっかりしてたから、おサルさんで癒されよう。