魁!!男塾の『民明書房』で一番だまされてしまう逸話を決める。
今回はその⑥、『天挑五輪大武會』の予選、厳娜亜羅十六僧戦と、決勝トーナメント一回戦宝連黒連珠戦で登場した民明書房です。
①はこちらから。
どんな人でも信じてしまう『民明書房』を決めよう!っことで、今回も引き続きやっていきます。
前回から『天挑五輪大武會』に入ってます。
前回は男爵ディーノが髪の毛で振り回された必殺技が出てきましたね。
『辮締旋風大車輪』ね。脳天から地面に叩きつけられてたね。
髪の毛には気をつけましょうね。
それでは、今回もはじめていきましょう。
例によって、多少端折りながら進めます。
また、民明書房以外の出版社もひっくるめてやります。
ジャコウ科耽春草から抽出『耽幽香』
『耽幽香(たんゆうこう)』。
太公望書林刊『世界幻覚大全』より。
男塾死天王最強影慶vs厳娜亜羅十六僧颱眩法師(たいげんほうし)で颱眩法師が使用した幻術。
ちなみに雷電はこれを知ってました。
「知っているのか?雷電」ってヤツですね。
そう、あの有名なフレーズ。
ちなみに、このとき誰が「知っているのか?雷電」って言ったか知ってる?
男爵ディーノ!
あれ?髪の毛だけでボコボコにされたはずじゃ…。
いや、だからボコボコにされてないから!
髪の毛だけで振り回されたあと、脳天を地面に叩きつけられただけ!
より悲惨!
”インド最後の秘境・カシミール地方タングール山頂付近にのみ軍政するジャコウ科耽春草から抽出された特殊成分を利用してつくられる秘香。そして、その香は幻覚既視感(ハルシネ・デジャブ)を起こさせることにより、過去に実視した景色を吸引した者の意識の中に具現化する効果がある“。
”ちなみに、この耽幽香は密教僧達の間で瞑想禅の儀式の際、輪廻転生への悟りを開く鍵として用いられる。ただし、過剰に吸引すると肉体に害を与えるため、その使用・所持については法で厳しく規制されている“。
ケシみたいですね。
この”ジャコウ科耽春草“の”ジャコウ”ってなんですか?聞いたことあるけど。
香料に使用される物資みたいよ。
ただ麝香って書くぐらいだから、ジャコウジカっていう鹿の腹からとれるんだって。
植物じゃないんかい!
じゃあ”ジャコウ科耽春草“ってとこもかましてたのか!
おそろしいね『民明書房』。いや、今回は『太公望書林』か。
そういや、前回の『ベラミスの剣』も『太公望書林』だったわ。
油断してると、騙されますね!
VELT’S INVENTION『膨漢丹』
『膨漢丹(ぼうかんたん)』。
太公望書林刊『英国貴族の習慣・風俗』より。
また太公望書林、要注意ですよ。
“現代薬学でいうプロタイン系アスコルビンマイシン。18世紀末、英国貴族の間では、その富と権力を象徴する証は太っていることであった。そのため、当時の貴族達は腹部の大きさを競いあった。こういう時代背景にあって、各貴族の御用科学者達が腹部を膨張させる秘薬の開発を命じられた“。
デブは金持ちの証ってことですか。
それ中国とかでも言いません?
中国にFAT法ってあるらしいよ。あれはデブから金とるのかね?
まぁいいや、続きがあります。
“そして、その薬を最初に発明したのがエジンバラ公お抱えのE・ベルツ博士であった。この薬は現代では当然無用の長物であり、役に立たないものを英語で VELT’S INVENTION というのはこれが語源である”。
これはこってりな民明書房ですね。太公望書林か。
今まで民明書房オリジナルことわざや故事成語を結構見てきたけど、英語による言い回しは初めてだね。”VELT’S INVENTION”。
ベルツ博士が語源の VELT’S INVENTION 。
どうせ、これベルツ博士もエジンバラ公もプロタイン系ナンチャラカンチャラも全部存在しないんでしょ?
たぶんね。ここまで来ると狂気を感じるよ。
これ、まっさらで聞いたら信じますよ。
でも薬剤師、もしくは医療関係の人だったら、プロタイン系アスコルビンマイシンでおかしいって気づくかもね。
アスコルビン酸っていうビタミンCの薬はあるみたいだけど。
寄せてるなあ。
騙されないためには知識が必要ってことだね。
眼球大脳生理学『錯距効果』
『錯距効果』。
太公望書林刊『眼球大脳生理学』より。
学術書っぽいタイトルだこと。
“動く物体を注視する時、その距離と大きさの変化が人間の眼に及ぼす錯覚の一種。野球における投手と打者の関係を例にとれば、同じ大きさの球を同一距離・同一速度で一定時間連続して投げ、それを打ち続けたとする。その時、突然わずかでも小さな球を投げると、それまでの状態に慣らされていた打者の眼は、その変化に気づかず距離感を誤り、ことごとく振りおくれ空振りしてしまう“。
いよいよ遊びがなくなってきたな。
ツッコミどころがわからないですね。
逆に、これを聞いて疑うほうがどうかしてるよ。
純粋に騙されるものはどれか、を競うなら、これが優勝じゃないですか?
そうだね。ただ”ベルツインベンション“みたいのも欲しいよね。
たしかに。『錯距効果』ってなんだか難しすぎてインパクトには欠けますね。
早く乙に上がりたい『極武髪』
『極武髪』。
太公望書林刊『世界頭髪大全』より。
うわ、おもしろそ!『世界頭髪大全』。
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“古代中国拳法界においては、その頭髪の結い方で技量の段位を表す制度があった。その段位は、上から甲武髪・乙武髪・丙武髪などと呼び、その最高峰として存在していたのが、極武髪である。一見、無造作に束ねただけの名誉の髪型を許されるのは最高度の修行を経て頂点に達したものだけであり、千人にひとり出るか出ないかと言われた“。
この”極武髪”を結っていたのが、厳娜亜羅十六僧の竜宝。
最高幹部である三宝で最強の男だ。
じゃあ、めっちゃ強いんですか?。
いや、そうでもなかった。
まぁ相手が悪かったかな。あの男爵ディーノを手玉にとった伊達臣人だからね。
それだとあんまり凄さが伝わらないですね。
ちなみに、甲武髪、乙武髪、丙武髪はこんな感じ
丙はだいぶ恥ずかしいなあ。
丙の間は地元の友達とかに会いたくないね。
だから乙に上がるために修行に励むのか!
うまくできてますね。
肝心の極武髪はどんななんです?
ほぼ甲武髪。ただ甲より短く、編むこともしない。束ねるだけ。
つまり、だんだんシンプルになってくね。
恥ずかしい髪型をしたくなかったら修行しろと。
竜によせた『咆竜哮炎吐』
『咆竜哮炎吐』。
太公望書林刊『中国拳法-火の考察-』より。
引き続き厳娜亜羅十六僧の竜宝からみ。
ちょっと関係ないですけど、厳娜亜羅十六僧って名前の由来はなんですか?
雷電がいうには、厳娜亜羅超人拳の最終行である石柩嵌を成功したものだけに与えられる達業僧の称号が厳娜亜羅十六僧。
『天挑五輪大武會』は1チーム16人編成でしたよね。
これはたまたま一致したってことですか?
たまたまですね。
じゃあ『淤凛葡繻十六闘神』の由来は?
伊達がいうには、古代ローマの皇帝が親衛隊として武術に秀でた者をえらんだのが十六名だった。
これもたまたま一致ですか?
たまたまですね。
『梁山泊十六傑』は?
うっさいな!たまたまだよ!みんなたまたま十六!
そんなに気になるならガンダーラっぽい寺に聞いてきな!
ガンダーラっぽい寺ってどこだよ。
”中国拳法に於いて異端とされた蘭家南宋派が創始したといわれる秘術。黒炸塵を体内に吸収し、凄まじい勢いで吐き出すと同時に左右両刀で火花を起こして着火させ炎を発射する。それにひるんだ相手に両刀で攻撃を加える技である。10m離れたロウソクの火をひといきで消すことができなければ修得は不可能といわれる“。
火を吐いて竜みたいだから竜宝なんですね。
しかし、10mって距離は民明書房でよく出てきません?
『纒欬針点(てんがいしんてん)』の練習も10mだったね。
10mの高さから顔面めがけて石を落とすって。
危なすぎ!
それに比べれば今回の修行はだいぶ危険度が低いかな。
ただこの黒炸塵ってのが気になるけど。
黒炸塵(こくさくじん)についても書かれてるよ。
“黒炸塵とはニトロラーコ系の微粉火薬であり、吸引しても人体に害はないが、わずかな衝撃で発火する性質をもつため、その取扱いには最新の注意が必要である”。
人体に害はないけど発火するってなんだよ!
「じゃあ、いっか」ってならないでしょ。
リスクでかいわりに、ひるませるだけだからね。
メインは結局両刀による攻撃。
ひるませるだけなら他になんかあったでしょ。
そこはやっぱり竜に寄せたかったんじゃない?
本名は絶対竜宝じゃないだろうしね。
虎宝ぐらいにしとけばよかったのに。
満漢全席の主盆『雪ネズミ』
『雪ネズミ』。
太公望書林刊『動物棲息類聚』より。
『厳娜亜羅十六僧』の大僧正・朱鴻元が使ったネズミだね。
”哺乳類食肉目鼠科。学名コウゲンシロネズミ。主に標高六千米以上の中央アジア雪原に棲息する小動物。その特質は体の大きさに比して強靭な力をもち敏捷性に優れていることである。常に雪中生活を強いられるため、前肢がモグラの土かきのように発達し、別名雪モグラとも呼ばれる。その肉は大変美味であり、中国宮廷料理の極・満漢全席の主盆とされている“。
雪ネズミの別名が雪モグラってなかなかないパターンですね。
○○タイガーって別名がついたライオンって聞いたことないしな。
そして、気になるのは、”哺乳類食肉科鼠目”だよ。
これも生物に詳しい人だったら一発で見破れるんだろうな。
素人にはありそうに聞こえますけどね。
とりあえず肉食なんだろうなあ。
そしてもう一つ気になるのは、”満漢全席の主盆”だよ。
主盆って言葉がよくわからんけど、たぶんメインディッシュってことだよね。
満漢全席って、熊の掌とか燕の巣とか世界中の珍味が集うんですよね。
それのメインがネズミ?
ネズミにメインは無理だよな。末席には座るかもしれないけど。
これは信じがたいですね。
以上、厳娜亜羅十六僧戦に登場した民明書房でした。
ついでなんで次の宝竜黒蓮珠戦に登場した民明書房もふれちゃおう。
3つしかないんで。
暗殺史の陰には必ずいる『宝竜黒蓮珠』
『宝竜黒蓮珠』。
太公望書林刊『暗黒組織類聚楽』より。
宝竜黒蓮珠は決勝トーナメント一回戦の相手だ。
雷電曰く、冷酷無比なプロの暗殺結社とのこと。
プロの暗殺結社が本で紹介されてるんですか?
『HUNTER×HUNTER』のゾルディック家みたいなのかもね。
“その発祥は東アジア宝竜半島とされ、現代では世界全域にその勢力をもつ暗黒組織である。その掟は非常に厳しく、すべては血で清算される。世界の重大暗殺史の陰には必ず彼等の姿があるという”。
犯行もバレてるんですね。暗黒感うっすいなあ。
でもシンボルマークがドクロと蛇だよ。
これで暗黒感プラスだよ。
中学生が考えそうなマークですね。
そういや、メンバーも暗殺者の自覚ない奴ばっかりだったな。
テニスラケット振り回したり、巨鳥にのったり。
巨鳥!暗殺で巨鳥!
当時の読者もこれを信じた人はいないだろうね。
盃野郎の源『死頂盃』
『死頂盃』。
太公望書林刊『世界残虐刑罰史』より。
あいつか!やられフラグを自ら立てた奴!
“古代中国拳法界においてその規律の厳しさで知られた功諵寺で行われた制裁法。本来は硫酸を満たした盃を頭上に乗せて闘い平衡感覚を養うと同時に恐怖心を克服する修行法であった。それが、相手に毒を盛り頭上の解毒剤を取る為に闘わせるという一種の拷問に変化した。決して報われぬ絶望的努力をしながら死んでゆくのである“。
修行で硫酸を頭にのっけてったんですか。
俄かには信じられないって顔してますね。
続きを聞いてみてください。
“ちなみに現代で無駄な努力をする人のことを盃野郎というのはこれに源を発する“。
聞いたことないわ!
初めて聞きましたよ、盃野郎。
宮下あきら先生に言ってもポカーンとされるかもね。
だれも知らない『鐘家蛇彊拳』
『鐘家蛇彊拳(しょうけじゃごうけん)』。
民明書房刊『暗殺秘話』より。
暗殺結社『宝竜黒蓮珠』の主頭、鄧罦傑(とうふうけつ)が使う毒蛇拳法。
ボスですね。
めちゃくちゃ悪いんですか?
見た目だけね。中身はそんな悪い人じゃない。
それはそれでリアルっぽいですね。
“中国秦代、時の権力者達の暗殺の道具として毒蛇を飼いならした事に発する。訓練された蛇は、その敏捷性と賢さによって、どんな堅固な守りも潜り抜け必ず目的を達したという。その実体は名のみで、だれも知らぬ。なぜならば数千年の中国拳法史にあっても、その拳と対して生き残った者はおらぬ必殺拳とされているからだ“。
生き残った者はいないためだれも知らない必殺拳、でも民明書房の本にされてるっていうね。
「それ知ってるぞ!民明書房で見たぞ!」って言われちゃいますね。
これはもういいね。
今回は以上です!
さて、どれが一番騙されてしまう民明書房だったかな?
純粋に言ったら『錯距効果』ですけど、
その手で来られたら判断しようがないですよね。
インパクトにも欠けるしね。
そしたら、VELT’S INVENTION の『膨漢丹』かな。
ベルツ博士!それで行きましょ!
ワーストは?
盃野郎です。
⑦につづく。
出典:集英社/宮下あきら/魁!!男塾
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