【殺し屋１】双子の暴力にジジイチームの龍と昇が餌食！そしてイチは聖人（セイント）に【後編】

もう一度、垣原の言葉を振り返ってみよう。

ここでは、まだ痛みは感じるものだった。

そして、船鬼一家の鈴木への拷問でさらなる言葉が。

ここで痛みは感じるものから考えるものへ。

痛みを制している頭をコントールすると、痛みは心地よいものになる。

そんな感じで、

第５位から見ていきましょう。

第５位、セーラちゃんにまつわる暴力。

殺し屋イチこと城石一（はじめ）が通うピンサロ嬢だ。

いや、イチはピンサロだ。

新潟のピンサロ店「ペットニン」の常連だ。

逆だぞ。

新潟からわざわざ歌舞伎町にやってくるんだぞ。それもチャリで。

トレーニングも兼ねてるからね。

で、このセーラちゃん、全身痣と傷だらけ。

なので、店内まっくらな場末ピンサロ『ペットニン』でしか働けないんだ。

主旨とは違う別のナニカをつかんでるね。

セーラちゃんはイチが来るとペンライトを渡す。

「傷跡やアザ見て喜んでくれるお客さん、イチ君だけだよ…」

イチもまた屈折したものを抱えていた。無自覚のサディスト。

…。その通り。

セーラの痣や傷は同居している男から受けたもの。セーラの男はDV野郎だった。

セーラはイチに愚痴を吐き出すようになり、この言葉も使った。

「殺してやりたい」

数日後、イチはセーラの家を訪れ、セーラの留守中にDV男を殺害した。

イチはセーラを救った気になっていた。

そこでセーラが帰宅。凄惨な現場とイチを見て絶句。

セーラちゃんが殺してやりたいって、とぼやくイチに、

「何　冗談真に受けてんのよ……」

なにっ、殺しちゃったの？

セーラちゃんは男と暴力でつながっていた。おそらく共依存だ。

22歳の元いじめられっ子のイチには、まだそんな人間関係を理解できない。

事前にセーラ宅に近づき、DVの様子を覗いていたからなおさらだ。

この件はイチの精神にもダメージを与えたようで、

シゴトにもその影響が出ている。

さらにもう一段階、

暴力に対する認識のグレードを上げていこうか。

次が最終だ。

最後の垣原語録を見てみよう。

ついに聖人の域まで到達したね。

聖人に至る前に、

”相手に対して何の感情もなく、自分の世界で相手を絶望させる変態”

を見ていこうか。

三光連合を絶縁となった垣原は垣原組を立ち上げ暴走。

少しでも敵を向けた人間に暴力をぶつけていく。

裏ゲーム屋のオーナーは勝手に機械を増やしといてカスリをよこさないと、

垣原に長針を何本も太ももに刺された、

その場に居合わせたキャバ嬢のカレンはいう。

「Mの人って攻め手に回ると、限界を身をもって知っているだけにそうそうキツイって話は聞いてたけど…..」

このカレンは元安生の情婦で、垣原の情報源でもある。

カレンは垣原がゲーム屋をメッタ刺しにしているのを見て、

「私にもやらして……」

カレンは純真無垢な表情を保ちながら、

垣原の長針でゲーム屋の太ももを何度も刺した。

そのサマを見て垣原は思わず、

第４位、カレンのデビュー。

この後のカレンについては、また別の機会で。

第３位、イチによる裏ビデオダビング組への暴力。

垣原組が立ち上がり垣原が暴走、

ジジイらとの抗争も過熱化していくなか、

イチが動いた。

その暴力の犠牲になったのは、

垣原組の裏ビデオダビングを担当する竹中ツトム、マサシ、桜井の三人だ。

竹中ツトムはイチのシューズに仕込まれた刃で顔面だけを天井に斬り飛ばされた。

マサシもまたシューズの仕込み刃で両腕を切断、とどめに喉笛を刺された。

桜井は輪切りにされた。

裏ビデオダビング組惨殺の凄惨な現場を目にした垣原は、

股間をビンビンにして、

「すばらしい……」

とつぶやいた。

さらにそのセンスもほめたたえた。

”相手に対して何の感情もなく、自分の世界で相手を絶望させる変態”

イチがこの理想の存在かもしれないと、期待と不安に胸をふくらませた。

が、そこでイチによる吐しゃ物を発見。

「こいつがなけりゃ……カンペキなのに……」

と残念そうにつぶやいた。

イチはセーラの一件で精神に混乱が生じていた。

ジジイの単なる殺人マシーンに変化が起き始めた。

第２位、双子の暴力。

これは愛のある暴力にふさわしくないかもしれない。

垣原組の勢いは裏ビデオダビング組の惨殺であっという間に鎮火した。

ほとんどの組員が垣原組を離れ船鬼一家入り。

そんな風前の灯火の垣原組にやってきたのが、二郎と三郎の双子だ。

そうね。ただ、二郎と三郎は、鷹橋と梅津よりずっと極悪だけど。

二郎と三郎は垣原の九州時代の後輩。

二人共体格に恵まれ、暴力で人を支配することに何の抵抗も抱かない人間だ。

双子は一緒に女を抱くほどの仲の良さを見せる一方で、互いに異常な敵愾心を持っている。

些細なことでそれが暴発し突然争い出す。

本来は三つ子であり、長兄の一郎はそんな些細な喧嘩で二人に殺されている。

どっちがセックスうまいか。

そんなしょうもない理由で、

双子の相手をした女の子の一人は二郎に髪をむしりとられ、

もう一人は三郎に乳首をドスで切り落とされた。

この双子の暴力は本当に気分悪いんだよ…。

ただ彼らの登場で垣原組は一時巻き返す。

はぐれ者チームのスケコマシの龍が餌食となった。

ヒモをやってる中国人の龍。

女の子のお金で食わせてもらってるが、その女の子のことは心から愛す。

暴力で女性を支配する双子とは似てるようで似ていない。

この龍が垣原組に捕らえられたとき双子は、

どちらが龍に大きな悲鳴をあげさせるか、

という勝負を始めた。

それの元祖だね。陰部への攻撃もあるし。

ただ『チェンソーマン』はコミカルな雰囲気だったけど、

こちらはそのかけらもない。

勝負の詳細はご自分で読んでください。

さらに、はぐれ者チームは昇も捕らわれた。

垣原に金的くらった男だ。

昇もまた垣原組に拷問される。

垣原にサブインシジョンされ、怪力の二郎に素手で腕をもがれた。

昇が捕らえられた後、

あの鉄拳制裁の高山が、ジジイに素手で首を折られて殺された。

高山の死体を見て三郎がいった。

「二郎ちゃんでも、ここまではムリですぜ。」

そればっかりよ。まさに、

”相手に対して何の感情もなく、自分の世界で相手を絶望させる変態”

ただ垣原は双子の暴力に対して、

”こんなにも期待と不安で胸がいっぱいになる”

ことはないようだ。

互いの我執が絡み合ってるだけなんで、他者が入り込む隙間なし。

垣原はそこに美しさを感じなかったようだね。その武は買ってたみたいだけど。

第１位、イチの暴力。

迷いを抱え、殺し後に吐いていたイチが、

完全なサディストとして帰ってきましたー！！！

ジジイや垣原にとっては。

抗争もクライマックス。垣原はついに念願のイチの暴力に対峙し驚愕する。

「な、なんだ、お前の暴力は!?」

「愛がない故に美しい……。美しさがない故に……愛がある!まさに……聖人（セイント）だけが持てる矛盾!!」

これもこのとき発した言葉だ。

詳しくは、ご自分で読んでみてください。

そんなあなたに最後ジジイの言葉をささげよう。

なので、人にも自分にも痛みを与えるのはやめましょう！